近未来小説 幸せの煙 セブンスターズX 7

「次にこの画像をご覧下さい。」
そう言うと所長は3枚の画像を指さした。
「これらの3枚の画像に映っている樹木は全て同時期に植林した同種の・・・つまり我々が開発したセブンです。」
会場が一層ざわめく。
それもそのはずである。
映し出された3枚の樹木の画像はそれぞれ全く違う形態なのである。
所長はそのうちの1枚を選択し説明を進める。
「例えばこのセブンは、砂漠地帯に植林した物です。まず背丈を比較しましょう。温帯地域に植林したセブンよりもずっと低いです。また根本をご覧下さい。芝生のようにビッシリと生えているのはセブンの種から発芽した物です。」
砂漠地帯に植林されたセブンは背丈が低くその根本にはまるで芝生が敷き詰められたように真っ青な植物が生えていた。
「砂漠地帯のセブンは、植林するとまず始めに急速に根を発達させます。その発達は2つの工程に分けられ幹を支えるために地表浅い部分に広範囲にわたって発達する根と地中深く根を潜らせる根とに分けられます。」
そう言うと画像のその部分を指し示す。
「地表部分の根は・・そうですねイメージしやすいところでは富士の樹海に育つ樹木と同じような様相となります。富士の樹海は皆さんご存じの通り溶岩の固まった上に樹木が生えてきております。ですから樹木は地中深く根を生やし幹を安定させることが困難となるため地表浅い部分に広範囲に根を発達させます。砂漠地帯のセブンも同じように横にガッシリと太い根を発達させていきます。また同時に地中深く潜る根は、地中の水脈層にたどり着くまでその発育を止めません。場合によっては数百メートルまでその根を地中に潜らせるのです。」
所長は一気に説明し、再びプロジェクターを操作する。
「次にこの映像をご覧下さい。」
映し出されたのは雨に打たれる砂漠地帯のセブンだった。
「皆さんこの映像・・・一見すると珍しく雨の降った砂漠地帯で雨に打たれているセブンの映像と思われるでしょう・・ではセブンの葉の部分をクローズアップした映像を見てみましょう。」
映像が切り替わる。
雨に打たれる樹木の光景としては何か不自然さを感じる。
その不自然さはすぐに会場にいる記者達にも伝わったようだ。
記者の一人が叫ぶ。
「なんだ?葉っぱから水が降ってる見たいに見えるぞ?」
会場がガヤガヤとし始める。
「その通りです!さすが見識高い記者の皆さん!素晴らしい観察力です。地中深く掘り進み水脈に当たった根は木部を通じて水を大量に汲み上げます。そして気孔から雨のように水を地表に降らせるのです。」
会場がしんと静まりかえる。
「ではなぜ地表に水を降らせるか?先ほど根本にセブンの種子から生えた芝生のような植物をご覧頂きましたが・・セブンは彼らに水分を与え繁茂させることにより自らの根元から水分が奪われることを防いでいるのです。ちなみに根元の植物は定期的に枯れますが完全に枯れる前に新たな種子を落とし乾燥を防ぎます。この点においてもう一つお知らせしなければならないセブンの特徴があります。セブンは種を組み替えます。いわゆる種の保存のためのタネと種を守るための植物を繁殖させるためのタネを時期によって作り分けるのです。」
会場に再びざわめきが起こる。
続く・・・