少子高齢化時代の地域福祉を支える「貢献ポイント制度」
― 地域福祉活動・寄付・将来の社会保障をつなぐ新しい仕組み
「貢献ポイント制度」は、FMO-AOKIが提案する新しい参加型社会保障モデルです。
身近な地域で有償の福祉活動に参加し、その報酬の一部または全部を被災地支援や子ども支援などに寄付します。その寄付実績を「貢献ポイント」として記録し、将来、自分自身が介護などの支援を必要とした際の費用の一部に活用する仕組みです。
被災地や子ども食堂などへの支援と、深刻化する地域福祉の担い手確保を共に進めることを目指しています。
日本では少子高齢化が進み、介護や生活支援などの地域福祉を担う人材の不足が、今後さらに深刻になることが予想されます。
一方で、地域のために何かしたい、被災地や子ども食堂などを支援したいと思っていても、仕事や家庭、距離などの事情から、直接支援に参加することが難しい人も少なくありません。
そこで私が提案しているのが、**「貢献ポイント制度(Contribution Points System)」**です。
貢献ポイント制度は、
身近な地域での福祉活動
→ 活動に対する報酬
→ 希望する社会課題への寄付
→ 寄付実績を「貢献ポイント」として記録
→ 将来、自分が介護などの支援を必要としたときに活用
という流れを一つにつなぐ社会の仕組みです。
貢献ポイント制度とは
貢献ポイント制度では、自治体、社会福祉協議会、福祉施設などが、地域で必要とされている福祉活動を提示します。
例えば、
・介護の周辺業務
・高齢者の買い物支援
・清掃や家事の手伝い
・高齢者の見守り
・子育て支援
・地域活動の補助
など、特別な資格がなくても参加できる身近な活動が想定されます。
市民はスマートフォンなどを利用して、自分の時間や能力に合った地域福祉活動に申し込みます。
活動に対しては一定の報酬が設定され、その報酬を本人が受け取るだけでなく、希望する場合には、その一部または全部を社会的な支援先へ寄付できるようにします。
寄付先としては、例えば被災地支援、子ども食堂、地域福祉活動、故郷の自治体などが考えられます。
そして、その寄付実績を国などの公的機関が**「貢献ポイント」**として記録します。
将来、その人自身が高齢になり、介護や生活支援などを必要とするようになった場合には、保有する貢献ポイントの範囲内で、介護などに必要となる費用の一部へ充当できる仕組みです。
貢献ポイント制度の5つのステップ
仕組みを簡単にすると、次の5段階になります。
1.地域福祉活動に報酬を設定する
自治体、社会福祉協議会、福祉施設などが、買い物支援や清掃、見守り、子育て支援などの地域福祉活動に一定の報酬を設定します。
2.市民が身近な地域福祉活動に参加する
市民はスマートフォンなどから、自分が参加できる活動を選びます。
3.活動報酬を希望する社会課題へ寄付する
希望者は活動によって得た報酬の一部または全部を、被災地、子ども食堂など、自分が支援したい分野へ寄付します。
4.寄付実績を「貢献ポイント」として記録する
寄付した実績を貢献ポイントとして公的に記録します。
5.将来、自分が支援を必要としたときに利用する
将来、介護などが必要になった場合、保有している貢献ポイントを利用して、自己負担の一部を軽減できるようにします。
なぜ、この仕組みが必要なのか
貢献ポイント制度が対象としている大きな社会課題は、主に3つあります。
第一は、地域福祉の担い手不足です。
少子高齢化が進めば、介護や生活支援を必要とする人が増える一方、支える側の現役世代は減っていきます。
福祉専門職だけですべての生活支援を担うことには限界があります。
そこで、介護などの専門性が高い業務は専門職が担い、買い物支援、清掃、見守りなどの周辺的な生活支援については、地域住民にも参加してもらうことで、地域全体の福祉供給力を高めることができます。
第二は、若者・現役世代の地域活動への参加不足です。
純粋なボランティアだけでは、忙しい現役世代が継続的に参加することは容易ではありません。報酬を支払うことで、介護の周辺業務を地域住民に担当していただく仕組み(スケッター制度など)も始まりましたが、報酬額が限定的であり、参加者はどうしても介護に興味にある人に限られてしまいがちです。
しかし、
「地域で人を助けることが、被災地など別の誰かを助けることにもなり、さらに将来の自分の安心にもつながる」
という仕組みになれば、新しい参加動機を生み出せる可能性があります。
第三は、地域コミュニティの弱体化です。
地域で人と人が助け合う機会が増えれば、高齢者の孤立防止だけでなく、世代を超えたつながりの形成にもつながります。
被災地から離れていても支援できる
この制度の特徴の一つは、**「直接支援できなくても、身近な地域活動を通じて間接的に支援できる」**ことです。
例えば東京に住む人が熊本の被災地を支援したいと思っても、仕事や家庭の事情で現地へ行くことは難しいかもしれません。
その場合でも、自宅の近くで高齢者の買い物支援を行い、その活動報酬を被災地へ寄付できれば、
東京での地域福祉活動が、熊本の復興支援にもなる
という新しい助け合いが生まれます。
さらに、その寄付実績が将来の本人の貢献ポイントとして残ります。
つまり、
「身近な人を助ける」
「遠くの誰かを助ける」
「将来の自分を支える」
という3つを、一つの活動で結び付けることができます。
福祉専門職の負担軽減にもつながる
この制度は、専門的な介護労働を市民に置き換えることを目的としたものではありません。
むしろ逆です。
介護職員や福祉専門職には、身体介護、認知症ケア、医療との連携など、専門性の高い、本質的な業務により集中してもらう。
一方、買い物、清掃、見守りなど、地域住民でも担える活動を地域全体で支える。
この役割分担ができれば、限られた福祉人材をより付加価値の高い仕事に振り向けることができます。
財政負担を抑えながら社会保障を支える可能性
高齢化によって社会保障費が増加していく中で、すべてを税金や国債だけで賄い続けることには限界があります。
貢献ポイント制度では、地域福祉活動によって生み出された価値を、将来の社会保障と結び付けます。
貢献ポイントを将来利用する際には一定の公的負担が必要になりますが、国債のような借金とは異なり、利払い負担が発生しません。
また、すべての人が将来同じ量の介護サービスを必要とするわけではありません。
健康な高齢期を送ることができれば、保有している貢献ポイントをすべて利用しない人も出てきます。
そのため制度設計によっては、将来の社会保障費増加を抑える一つの手段になる可能性があります。
「ボランティアポイント」と何が違うのか
貢献ポイント制度は、一般的なボランティアポイント制度とは少し考え方が異なります。
活動そのものに単純にポイントを付与するのではなく、
地域福祉活動
→ 報酬
→ 寄付
→ 貢献実績
→ 将来の社会保障
という一連の流れをつくることが特徴です。
これは「善意」を単発のボランティアで終わらせず、社会全体を支える持続可能な仕組みへ発展させようという考え方です。
日本から世界へ提案したい社会モデル
高齢化や福祉人材不足は、日本だけの問題ではありません。
今後、多くの国で高齢化が進めば、
・誰が高齢者を支えるのか
・福祉人材をどう確保するのか
・社会保障費をどう負担するのか
・地域コミュニティをどう維持するのか
という共通の課題に直面します。
私は、**貢献ポイント制度(Contribution Points System)**を、こうした課題に対する一つの新しい選択肢として考えています。
人を助けた行動が、別の誰かへの支援となり、その貢献が将来の自分の安心にもつながる。
「助け合いを、社会の力に変える。」
地域福祉、被災地支援、寄付、社会保障を一つにつなぐことで、少子高齢化時代でも持続可能な社会をつくる。
これが、私が日本から世界へ広げたい「貢献ポイント制度」の基本的な考え方です。
English version: Contribution Points: A New Social Security Model