秋田へ避難されている方に届ける漆の飯椀
11月23日までの約7週間にわたり開催されていた
会津地域内にアート作品を展示する会津漆の芸術祭で、
喜多方の金忠蔵座敷には
秋田公立美術工芸短期大学復興支援プロジェクトチームが
「漆の飯椀がある食卓」をテーマに作製した1200個の飯椀が並べられていました。
この飯椀は秋田公立美術工芸短期大学の学長、樋田豊次郎さんの
「秋田へ避難してきている方々へ、美術を通し何か支援したい」
という想いから作製されました。
音楽や芸能は震災被災者の心にダイナミックに響く。
それにくらべ、美術はスタティックだ。
しばらく前、「百円均一ショップの食器ではつらい」という被災者の声が聞こえてきた。
美術ならではの応援方法もあると気づき、
食事に精神的な深みを取り戻す漆の飯椀の製作と
被災者への贈呈を思い立った。
樋田さんの想いが綴られていた紙を見たとき
ぜひ直接お話しを伺ってみたい。
と思い、今回ちょうど会津へいらしていたきっかけで
取材することができました。
漆の飯椀の製作には、被災者への想い。そして秋田への想いもありました。
秋田には会津と同じように「川連(かわつら」という漆の産地があるそうです。
地場が衰退している今、秋田も元気にしたい。
そこで、川連を使い
秋田公立美術工芸短期大学の先生方、学生、
漆の人間国宝の方、川連漆器組合、各地の漆芸家など多くの方に協力をいただき
秋田へ避難してきている1200人分の飯椀を製作することができました。
飯椀製作の話を持ち出したとき、
みなさん二つ返事で快く協力してくださったそうです。
それがとても嬉しかったと言います。
「美術で飯を食ってきたものとして、
わたしも美術を通して何かしたい」
そんな想いからさまざまな方の協力の下作られたこの飯椀で、
秋田へ避難されている方の食卓が明るく、
そして心のゆとりとなってほしいですね。