ガーデニング先生
昔はユニークな教師がたくさんいました。
私が小学5年生のときの担任がその一人です。
男性の先生で、当時40歳くらいだったと思います。
学校の校庭や花壇を美しくすることに、異常なほど情熱がありました。
花壇を徹底的に美化していたので、「鹿児島市立小学校花壇コンクール」というので優勝したのです。
それもそのはず、その先生が一人でやったのではなく、クラス全員が毎日のように作業をしていた(させられていた)のです。
しかも、学校に行ってから、朝から下校の時間まで、ず~っと作業をする日が多かったのです。
つまり、勉強の授業はやらずに、校庭の草むしりや花壇をきれいにするための作業を、みんなでやっていたわけです。
子供心にも「授業しなくて大丈夫かな?」と心配していましたが、「授業を受けるよりは楽しいから、まあいいか」と思った記憶があります。
その作業は、暑い中で草むしりをしたり、花壇の土を一輪車で運んだりと、けっこう肉体労働的な感じでした。
農家の子供が多い地域だったので、皆、手慣れた作業ぶりでしたが、私はあまりやったことがなくて苦労した気がします。
ところがある日、児童の親から「毎日授業もせずに土方(どかた)ばかりやらされている」といった苦情が、学校に入ってしまいました。
私は「余計なことを言って」と思いましたが、授業もせずにクラス全員で校庭で作業ばかりするのは、当時でも普通ではなかったですね。
さすがに苦情が入った後は、その先生も真面目に授業を行うようになりました。
しかし、体育の時間は、ここぞとばかりに、相変わらず校庭での作業をやる時間になっていたのです。
凝りない先生でした。
顔はかなりいかつい雰囲気の先生でしたが、学校の「ガーデニング」が大好きで、クラスの全員に楽しく作業をさせていたので、ある意味児童をうまく教育したと言えるかもしれません。
「ガーデニング先生」
とても懐かしいです。