年代に合わせて自分の人生コンセプトを見直す
多くの人は、年齢を重ねてから
「もうこんなに歳とっちゃった」
と気付いて、時の流れの速さを実感します。
過ぎ去った若かりし日々を思い出して、
「あの頃にこういうふうに過ごせばよかった」と
後悔してしまう人も少なからずいます。
でも、過去を嘆いてばかりいては、その後の人生も楽しめなくなってしまいかねません。
大阪で職員50名ほどの大きな会計事務所を経営している会計士は、自分の人生について年代ごとにコンセプトを決めて生きていました。
20代の頃はまだサラリーマンで、「いい女性と出会って結婚する」ということを人生のコンセプトとしていたそうです。
結婚して独立開業した30代になると、「事務所を大きくしてとにかく儲ける」ということをコンセプトに掲げ、あらゆる手を尽くして顧問先を増加させて大きい利益をあげました。
ところが、40代になると拡大志向をやめて、「既存取引先の経営者と深く付き合っていくこと」をコンセプトとし、経営者が集うコミュニティを形成する活動も始めました。
50代に入ると、今度は自分のビジネスのことよりも、地域への貢献活動に目を向けました。地元の商工会議所での活動や、街づくり計画などにも参画しました。
そして、60代になったときから、彼の人生コンセプトはガラリと変わりました。
「これからは人のために頑張ることはやめて自分のために生きる」と周囲の人に宣言して、ゴルフや旅行、盆栽など完全に趣味を中心とした生活に転換しました。
今彼は70代ですが、自分の寿命を90歳と定めて、趣味に打ち込むほか自叙伝を書くなどして人生を楽しんでいます。
「人生コンセプト」とは、何があってもぶれない心をつくり、楽しく生きていくための「指針」となるものです。
過ぎ去った日々を後悔するのは、自分がどのように生きていけばいいか分からないままに、毎日流されてきたことが大きな原因の一つです。
この会計士のように、自分の人生コンセプトを定めておくと、過去はきっぱり忘れて常に前向きに行動できるようになります。
人生コンセプトを定めることは、今あなたが何歳代であっても遅くはありません。
これからの人生を夢と希望があふれるものにするために、次の三つの観点で考えてコンセプトを定めてください。
1.自分の願望を素直に考えてみる
コンセプトというと、将来のために勉強するなどストイックなことを考えがちですが、その年代でしかできない楽しみというのはあります。
今の年代で素直に「何をすれば自分が楽しく過ごせるのか」ということを考えてみてください。
2.過去にとらわれず新しいことにチャレンジする
人は年齢を重ねてくると、過去の失敗体験にとらわれたり年齢を理由にしたりして「こんなことは自分にはできない」と枠を設けてしまいがちです。
何か新しいことにチャレンジする姿勢を盛り込んで実行していくと、自分の成長を実感することができます。
3.次の年代をどのような気持ちで迎えたいか
今の年代が30代だとすれば、「40代に入ったときにどのような気持ちでありたいか」と考えてみてください。
次の年代をその気持ちで迎えるためには、何をしておくべきかが自然に明確になってくると思います。
たとえば、お金の不安がない気持ちで迎えたいなら、「預金を増やす」とか「お金を稼げる体制をつくる」といったコンセプトを掲げるべきでしょう。
人生コンセプトは、必ずしも10年ごとでなくても、5年ごとで設定しても構いません。
あるいは、もっと長く20年タームで決めてもいいと思います。
人生は一度きりで、今あなたが生きている年代も一度きりです。
しっかりとコンセプトを定めておけば、何歳になっても過去を後悔することはなく楽しく過ごせます。