友人たちとカラオケに行ってきた。
「最初の一時間はバラード禁止」といういつもの俺流ルールで、汗だくになるぐらい盛り上がっていた。
そして一息ついてる最中、歌を採点できる機能がある事に気づき、
「一人ずつ自分の得意な曲を歌って、その得点を競い合おう!」
みんなにそう提案した。
なんてったって俺はプロのミュージシャン。音楽を生業としている男。横浜アリーナを即完で埋めたし、紅白歌合戦にも出場した。本物との差を見せつけるため、素人共に胸を貸してやろうと思ったのだ。
ジャンケンで歌う順番を決める。俺は余裕を持って一番最後をチョイス。そう、何時だってスターは大トリを務めなければいけない。
順番にそれぞれの十八番の楽曲を歌っていく友人たち。
ふ~ん。
なかなか上手いじゃん…。
ていうか…そそそ…そんなに上手かったっけ…?
みんな本気(マジ)で高得点を狙い始めたのね。だって最初の盛り上がるだけの時間帯とは、明らかに歌い方が違うもん。
まったく大人げないな~。
ドキドキ…( ̄。 ̄;)ドキドキ…
そしてついに俺の出番がやってきた。現時点での最高得点は86点。いや、まぁ少しだけ焦ったけど、これくらいなら大丈夫だ。なんてったって俺はプロのミュージシャンだからな。
自分で歌う楽曲を選択。
ピッ!
室内、大ブーイング。
「汚ぇーよ!自分の歌じゃん!」
「うるせー!そんなルール、誰が決めたんだよ!」
構わず本気で熱唱。
大好きだ~♪大好きなんだ~♪それ以上の言葉を~♪
そして運命の採点。
ダダダダダ…(ドラムロール)
ダンッ!
6人中3位。
なんか実家に帰りたくなった。
い…いや、今のは機械のミスだ! こんなはずはない! もう一回だけ歌わせてくれ!
俺は熟考した。複雑なメロディーはマイナス要因になりやすいんだろう。もっと単純に…もっとシンプルに…そうだ、ラップだ。もともと俺はラップ一筋で生き抜いてきたラッパーだった。これならきっと高得点を狙えるぞ。
ファンモンの中でも、特にヒップホップ色の濃い楽曲を選択。
ピッ!
バッキバキに韻を踏んでる『チェケラッチョ』。
すでに友人たちは半ば呆れ顔。ケータイをいじったり、飲み物を頼んでたり。
そんな中、俺 on the mic!
昭和53年12月18日誕生!加藤家次男坊!お袋が親父をサンプリングだぁ!レペゼン米山産婦人科ぁ!
…手応えアリ。これはキタ。
さぁ来い! 90点台!
ダダダダダ…(ドラムロール)
ダンッ!
最下位。
もう引退しようか。今までホントにありがとう。
ちなみに、
布袋さんのトリビュートアルバムに収録されてる『さらば青春の光 with 布袋寅泰』を歌ってみたら…
なんとかギリギリ最高得点でした(笑)。
布袋さん、救われました! ありがとうございます!