本来だったら、今日はFUNKY MONKEY BABYSの東京ドーム公演の日だった。




『いちょうの国から』のツアーファイナルとなった代々木第一体育館でみんなに発表し、会場中に鳴り響いた驚愕の声。そして祝福の大歓声。




俺は嬉しくなってステージ上をバカみたいに喜びながら走り回った。その時の光景は、今でも身体が覚えている。




BABYSも一緒に喜んでくれて、楽しみにしてくれてた東京ドーム。




だけれども、


未だ忘れる事の出来ない“あの日”以降、エンターテイメントの先行きが不透明な状況下となってしまい、メンバーとスタッフ全員で何度も話し合った結果、「公演の中止」という苦渋の決断を下すことになった。






たくさんの人たちから、様々な意見を頂いた。





「残念です。ガッカリしました」


「こんな時だからこそやるべきなのに」


「中止を震災のせいにするな」




中には、自分たちの決断に、悔いや迷いが残りそうなコメントもあった。






そして、


「避難所生活で、ドームに行きたくても行けない状況だったので、延期にしてくれて嬉しかったです」




復興地から届いたお手紙に、心が救われたりもした。




(そう、ひとつだけ訂正するなら「中止」ではなく「延期」だと、俺は強く思っている)





俺たちが空けてしまったドームのステージには、俺の音楽人生の恩人でもある布袋寅泰さんが、吉川晃司さんと共に伝説のバンド『COMPLEX』として立つ事になった。これにはさすがに不思議な縁を感じたよ。







今日、これから俺は地元の八王子に帰り、メンバー3人だけで楽曲制作を行う。




そこから生まれる新たなメロディーが、FUNKY MONKEY BABYSを再び東京ドームへと導いてくれる事を信じて。