20日頃から、急激に食べなくなった杏ちゃん。
体力を温存するかのように、いつにもまして横になっている姿が多くなった。
食べれないながらも薬だけはきちんと服用し、極少量であれば液状フードも口にしてくれていた。
なんとなくその姿をみて、わたしたちにお別れの準備をする時間を作ってくれているような気がした。
亡くなる前夜も、しーちゃんから大好きなりんごをもらって、元気に食べる姿を見せてくれた。
こんな感じの日が一週間ほど続き、わたしたちの休日を待っていたかのように土曜の朝。
これまで欠かさず服用してくれた薬もそっぽをむき、いつもとは明らかに違う様子で横になっている。
どこか遠くを見つめ、呼吸も荒くなっている。
昨日は通院日だったので毛布にくるんだまま病院に行き、これまでの経緯を説明し栄養点滴を希望した。
診断したところ、脱水症状もあり体温も下がっていた為、血液検査とエコーをとることに。
数値も悪くなく、これまで通り弁膜症はあるものの肺水腫という訳でもなかったので、脱水状態を改善するため皮下点滴を打つ事にした。
終わったあと、何となく眼に力が入ったような気もしたが、呼吸の荒さと宙を見る様な眼をみて、
「今日、明日、かもしれませんね」
と担当獣医師から告げられた。
言われる前から、分かっていた。
食べなくなった日から、そう遠くない日に永の別れがやってくることを……。
だからかもしれないが、意識して写真や動画を撮り、少しでも多く杏ちゃんの姿を残すようにした。
病気を患ったときから覚悟はしていたが、龍ちゃんの時も李子の時も、別れは急にやってきた。
あまりに切なく泣いていたから、杏ちゃん、気をつかってくれたのかな。
わたしに抱かれみんなに見守られながら、その時を迎えた。
別れは切なく寂しいけど、願ったとおりの最期だった。
チアノーゼをおこしたり、肺に溜まった水のせいで溺れる様な状態になったりせず、眠る様に静かに逝ってくれたら……。
それだけが望み。
杏ちゃん、ありがとうね。
でもそれはわたしだけの気持ちで、愛李には全く理由がわからず、大好きな杏ちゃんが眠ったままだと思っているのか、じっと見つめたまま傍を離れようとしない。
待っても待っても起き上らないので、いつものように傍で眠り始めた。
夜の間、寝室に連れて行き、今朝一緒に降りてきたら、
またしても傍を離れようとしない。
愛李、明日で杏ちゃんとお別れだよ。
姿は見えなくても、気持ちはいつも寄り添っていてくれるから。
病気とお別れした杏ちゃんを、お空におくってあげようね。








