前回診察時、はじめて腹水が溜っていた。
まだそう多くはなく、体内にとりこまれる事を祈り帰宅した。
それから10日余り、腹水は少しずつ増えていき、食欲も少しずつ減退していった。
ぐったりとしている訳ではないけれど、以前のようには動かなくなった。
ふわふわのクッショントンネルにいれてあげると、余程の事がない限りそのままの状態でいる。
呼べば振り向いたり、目線を向けてくれたりしたのだけど、それが今朝は全く無反応。
小刻みに震え、呼吸も荒い。
ここ二日食欲が激減していたので、今日は会社を遅刻して病院に連れていくつもりでいた。
ステンレスでできた病室が苦手な龍太郎、病院に長く滞在すると決まって鼻や頭を擦りすりむいてくる。
少しでもストレスを和らげるため、普段は使用しないキャリーバッグにバスタオルを敷き、その上に横たわらせ連れて行った。
担当の獣医師が不在のため、院長がかわりに診察をしてくれたのだけど、
腹水もかなり溜っているし、身体の色も悪い。胸水が溜っていたら命にかかわってきます。
利尿剤を用いて尿として排出させるので、とりあえずお預かりします。
今日おかえしできるかどうかは、夕方ご連絡頂いたときの状態で決めさせてください。
少し深刻な顔をして、そう言われた。
院長には先代ワンズの時からお世話になっているので、はっきりとした物言いには慣れている。
オブラートに包んだ言い方をされるより、気持ちを整理する時間をもらえて、……いいと、思う。
慢性腎不全と診断されて四年と数か月、食欲がおちて1週間ほとんど食べない時もあった。
血便がとまらず、危ない状態に陥ったことだってあった。
そのたびに頑張ってくれた龍太郎。
今回も持ち直してくれる、そう信じて、病院に電話しなければ。
でも今回は、ちょっと恐い……。

