くるめラリスナーの皆様、いかがお過ごしでしょうか。
第4木曜21:00からのスポーツジャンクション、パーソナリティの土田です。
今回は、スポーツジャンクションにもご出演して頂いている、東久留米市の自由学園卒業生のスポーツフォトグラファー赤木真二さんにご協力いただき、写真をご紹介しながらのコラムとなります。※写真の転載は禁止です。
更に今回は、長年ラグビーを取材されているスポーツライターの永田洋光さんと取材させて頂きましたので、永田さんの記事もご覧ください!
 

第2次エディジャパンスタート!
 

2023年12月13日、日本ラグビーフットボール協会は、エディ・ジョーンズ氏の日本代表ヘッドコーチ(以下HC)就任を発表した。任期は2024年1月1日からワールドカップ2027大会終了までの4年間。前回のHC時には、日本独自のスタイル「ジャパン・ウェー(JapanWay)」を掲げて2015年ワールドカップ プール戦3勝を成し遂げている。今回の就任会見でエディ・ジョーンズ氏は「超速ラグビー」を日本代表のテーマとして掲げ、「相手より速く走るだけではなく、速く考え速く決断する。高校、大学、社会人と一貫した考え方をもって育成していくことが重要だ」と述べた。再度ラグビー日本代表のHCに就任したエディ・ジョーンズ氏。2015年「ブライトンの奇跡」で世界を驚かせたチームジャパンを超えるべく、2027年のワールドカップに向けたエディジャパンの船出をレポートする。


第1戦は、因縁のイングランド代表戦


そのエディジャパンの初戦は、昨年春までエディ・ジョーンズ氏がHCを務めていたイングランド代表と対戦。6月22日、晴天の東京、国立競技場で44029人の観客が見守る中キックオフとなった。(イングランド戦は永田洋光氏の観戦記となります)

 

 6月22日のイングランド代表戦(@国立競技場)から始まった、ラグビーのリポビタンDチャレンジカップ2024は、3年後の27年にオーストラリアで開催されるラグビー・ワールドカップ(W杯)に向けた日本代表(以下ジャパン)強化の最初の関門と位置づけられています。
 12年から15年までジャパンをヘッドコーチ(HC)として率い、15年のW杯イングランド大会初戦でいきなり優勝候補の南アフリカ代表スプリングボクスを34対32と破る“世紀の大金星”を日本にもたらしたエディー・ジョーンズさんが、9年ぶりにジャパンのHCに復帰した初戦ということもあって大いに注目された試合でした。
 この試合には、ジャパンラグビーリーグワンで14シーズンぶりに復活優勝を遂げた東芝

ブレイブルーパス東京の2番フッカー原田衛選手や、早稲田大学2年生で15番フルバックに大抜擢された矢崎由高選手など、可能性に満ちた若手が多く出場したのですが、メンバー紹介の場内アナウンスで、4万4千29人の観客の大半を占めるジャパンのサポーターが一番大きな声援を送ったのは、最後に名前が呼ばれた山沢拓也選手――背番号23でベンチスタートの控えのフルバック――でした。
 実は、山沢選手には、埼玉県立深谷高校3年生のときに、さまざまなキックを駆使する卓越した能力と、柔らかいパス、そしてスピード感溢れるランニングが認められて、エディーさんに代表強化合宿に招集された経歴があります。
 ただ、17歳の若さで代表候補となりながら、イングランド戦前の時点でキャップ数は6と、活躍する機会にあまり恵まれていませんでした。22年11月13日のイングランド戦には10番で先発したのですが(結果は13対52)、23年に行われたW杯フランス大会の代表には入れませんでした。
 試合を司る司令塔として好不調の波が大きいというのがその理由と言われてきましたが、所属する埼玉パナソニックワイルドナイツでは、しばしば観客を驚かすような見事な個人技を見せるなど活躍を続けて、ファンの間には根強い“山沢待望論”がありました。
 二度目の代表HCとなったエディーさんが提唱する超速ラグビーと、山沢選手の独創的なプレースタイルがピタリとマッチングするのでは――そんな期待が高まっていたのです。
 山沢選手がピッチに立ったのは後半14分を過ぎた辺り。スコアは3対38と劣勢で、直後にトライを奪われて、残り20分の時点では3対45となっていました。
 ジャパンの反撃はそこからでした。
 まず26分に、途中出場でこの試合で初キャップを獲得したフランカー山本凱選手の突破からチャンスを作り、11番ウイングの根塚洸雅選手がトライ。

3分後には、イングランドの選手に囲まれた苦しい状況から5番ロックのワーナー・ディアンズ選手が突破。そこにサポートした山沢選手が近寄ってパスをもらうと、一気に加速してイングランドの選手を置き去りに。見事な独走トライを決めて、ファンの大声援に応えました。


 

 前半立ち上がりに何度もチャンスを作りながらトライに結びつかなかった超速ラグビーが、ようやく連続トライという結果を出し、山沢選手の能力の高さも示されて、試合には17対52と敗れたものの、ファンの期待を今後につないだのです。
 リポビタンDチャレンジカップは、その後も続き、6月29日、7月6日には、ニュージーランドの先住民族マオリ族の血を引く選手だけで構成されたマオリ・オールブラックスと対戦しました。



エディ・ジョーンズHC 秩父宮ラグビー場 6/29
                                                     
 
後半から出場の山沢拓也選手 秩父宮ラグビー場 6/29 


トライをあげた原田衛選手 秩父宮ラグビー場 6/29



FBでフル出場の矢崎由高選手 秩父宮ラグビー場 6/29


29日の試合には敗れましたが、6日には、エディーさんが「世界ランキングトップ10に入る力がある」と認める強豪から、26対14と史上初めての勝利を挙げました。
 この試合では山沢選手が先発10番でスタンドオフを務めて活躍。チームも、それまで2試合の敗戦から学んだ教訓を活かすなど修正能力や潜在能力の高さを示して、これからの飛躍を感じさせました。
 つまり、6月22日のイングランドとのテストマッチは、これから27年まで続く長い旅路の始まりを告げた、「はじめの一歩」だったのです。
by永田洋光
 

その後、日本代表は7月13日にジョージア代表@ユアテックスタジアム仙台、7月26日にイタリア代表@札幌ドームで対戦。



ジョージア戦のエディ・ジョーンズHC

 

フル出場のFB矢崎由高選手
 

ジョージアには23-25と惜敗。イタリア代表には14-42で大敗して、6、7月のリポビタンDチャレンジカップ2024を終了。
準備期間が短い中で、1勝4敗は予想や期待を下回りましたが、新しくジャパンのキャップをつかんだ早稲田大学の矢崎由高選手など、期待の若手が今後どう育っていくのか、そして永田さんのレポートにあるように山沢拓也選手や他の選手が超速ラグビーを体現していくことに期待しかありません。
次の代表戦は、公式戦のパシフィックネーションズカップ2024で8月にカナダ代表と9月にアメリカ代表と対戦。ここで勝利をつかみ取り、その後のランキング上位との対戦、10月のオールブラックス戦@日産スタジアム、11月のリポビタンDツアー2024でのフランス代表@パリとイングランド代表@ロンドンに弾みをつけて臨みたいところであります!