東京医科歯科大学 | 2010年大学入試数学42弾
※注
ヒントを見ないでこの大学の入試を解きたい人は、
解き終わってから見てください。ネタバレがあります。
大学入試シリーズ第42弾。
国公立シリーズ第17弾。
東京医科歯科大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、
典型パターンのレベルを3段階
(基本Lv.1←→高度Lv.3)
で書いておきます。
難易度の目安です。
A…教科書の練習問題、青、黄チャートの基本例題レベル
B…教科書の章末問題、黄、青チャートの重要例題、章末A問題、
および中堅大学入試問題レベル
C…チャートの章末B問題、難関大入試レベル
D…難関大入試でも難しい問題のレベル
E…超高校級の難問、試験場では即捨てるレベル
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの「標準的な時間」です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、
ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
東京医科歯科大学 数学(医-医) 2.80ポイント
(試験時間120分)
※ポイントについては、こちらを目安にしてください
・全体総評、合格ライン
昨年に比べ、易しくなりました。
第1問、第3問がやさしめで第2問が難しい
という傾向は昨年と変わっていませんが、
例年はCレベルやDレベルがごろごろ存在することを考えると、
全体的に易しくなり、例年以下といえます。
第1問、第3問はきちんと取って、
第2問をじっくり考えてどれだけできたかが分かれ目
だったでしょう。
試験時間120分に対し、
目標解答合計時間は105分。
全体的に計算は煩雑になりがちなので、慎重に計算して
ちょうどぐらいでしょう。
合格ラインですが、
第1問、第3問は完答し、
第2問をじっくり考えて半分はとりたいところですね。
本学受験者のレベルを考えても今年のレベルであれば
75%~80%ぐらいは欲しいところです。
第1問・・・不等式(C、30分、Lv.2)
与えられた文字式の大小を比較するもの。
(3)は(2)を使えということなのでしょうが、実は
相加・相乗であっさり解決してしまいます。
(2)をどう使うか考えるより速そうですし、出題ミス??
文字式の大小比較は、まず文字に適当な数字を代入して
大小を推測します。
今回は文字式が4つもあるので、
やみくもに足したり引いたりすると6通り調べなければいけません。
先に大きさの順番を推測できれば、3回ですみますね。
本問(2)を例にとってみましょう。
---------------------------------------------------------
与えられた数式を、順にP、Q、R、Sとおく。
(♯の間は解答用紙にはかかない)
♯
a,b,cは異なる正の数だから、a=1、b=2、c=3 を代入してみる。
P=84
Q=66
R=108
S=54
であるから、大小関係はR>P>Q>S であると推定できる。
R-P>0 P-Q>0、 Q-S>0 を示せばいいと考える。
♯
R-P=・・・・>0よってR>P
P-Q=・・・>0 よってP>Q
Q-S=・・・>0 よってQ>S
以上からR>P>Q>S
----------------------------------------------------------
といったように解答します。
大きさの順番がある程度わかっていないと、
例えば順番に計算して
P-Q>0 、Q-R<0。。。。 ではPとRは??
となり、実はQ-Rは無駄な計算であったことがわかります。
はじめに適当な値を代入するというのは、使える手法です。
頭に入れておきましょう。
本学受験者であればこの程度はスタンダードレベルにしておきたい。
☆第2問・・・空間図形(C、45分、パターンなし)
立方体と正八面体の重なりについて吟味する問題。
もう少し表現の仕方があったのではないかと思うぐらい、
問題文が長い。言っていることはたいしたことないのですが。
中心、そして中心から各頂点までの距離を指定しようと思うと、
このような表現が最適なのかもしれませんね。
このような問題のときのコツは2つです。
① ある平面できった平面図を描く。
積分するときの切り口の面積のために必要なことが多いですが、
単純に立体を把握する上でも重要です。
② 図を大きく書く。
図は大きく書いたほうがいろいろ書き込めますから、
わかりやすいです。今回は立体ですし、
xyz軸の位置をいろいろ変えて大きく書いて外観をつかむと
わかりやすかったですね。
なお、私は始め(2)も t だと思っていたので、
「0<t ≦1がないのは、厳しすぎる!!DEレベルやわ。」
と勘違いしてました。。。。
t=1 であれば、そんなに難しくないです。
☆第3問・・・楕円、積分(BC、30分、Lv.2)
円の接線が楕円から切り取る線分の長さと、面積を
求める問題。
口を酸っぱくして言っていますが、
2次曲線は交点、接点が主役。
α、βとでもおいて置いて、最後まで計算しないのがコツです。
また、円の接線の公式は必ず覚えてきましょう。
2次曲線では、接線に関する問題が多いですから。
線分の長ささえ出ればあとは計算で、ここも
本学受験者なら落としたくないですね。
対策
今年は少し易しかったですが、
医科歯科の問題は独特で、
かつ難易度が高い(C、Dレベル)問題が多いです。
チャートの手法はもちろんのこと、さらに上のレベルの
じっくり系の演習を行うことが大事です。
Bレベルをたくさんより、C、Dレベルでじっくり考える。
がいいです。
演習量比率
B:C:D=1:7:2
が理想です。Dレベルの問題がそろっている問題集は少ないので、
過去問も合わせてやりましょう。
ハイレベルな問題集をいくつか挙げておきます。
各大手予備校から1つずつぐらい紹介してみます。
※難しい順です。
- 大学への数学増刊 新数学演習 2009年 10月号 [雑誌]/著者不明
- ¥1,500
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理系高校数学の最高峰と思われます。
C、D、Eレベルがずらりと並んでいます。
解説もかなり質が高い。
- 最高峰の数学へチャレンジ―考えるたのしみ71題 (駿台受験シリーズ)/長岡 亮介
- ¥1,575
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文句なしの難関レベル対象の問題集です。
過去の実践模試からのものでしょう。
C~Dを中心に、Eレベルも少々あります。
- 荻野の最高峰への理系数学―代々木ゼミナール/荻野 暢也
- ¥1,050
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こちらもCレベルを中心に、Dレベルが少しある感じです。
- 「天空への理系数学」より難しいと思われます。
- ハイレベル理系数学 (河合塾SERIES)/三ツ矢 和弘
- ¥1,320
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Cレベルの問題が中心です。解説はかなり詳しい。
問題数は100問程度。
以上です。次回は一橋大学です。
文系数学では、最高峰のレベルでしょう。