水の王国。
無事に公演が終了いたしました。
今回ほど、楽しいと思えた舞台
そして今回ほど、心地よい達成感を味わった事がありません。
そのことを何回かに分けて、
備忘録としてココに記しておきたいと思います。
■演出コンセプト
うつせみ→『ドールハウス』
水の王国→『サークル オブ ライフ』
うつせみは、ドールハウス をコンセプトに演出していました。
つまり、誰にも邪魔されない、作りこまれた閉鎖的空間『榊邸』
それを取り巻く 大衆
そしてそれらを覗き見する乱歩氏と横溝氏
さらにそれら全てをひっくるめた舞台を覗き見する観客。
基本、左右で動く人間
室内芝居
をメインに会話劇と、心地よいテンポ感を重視し、物語をつむいでいきました。
映画的でもあります。
感傷的に演出したラストと絵画的な演出は、
見事にあたり
観客の心を掴む事ができました。
成功。
でも、どこか心に穴が開いた気分。
あぁ、この舞台は埋まりきっていない・・・・。
お話の筋で動いた作品に役者の個性をもっともっともっともっと
プラスしなきゃいけない。
芝居はそうでなくてはいけない。
粒ぞろいの上手い役者があつまったが
どこか迫力がたらない気もする。
これでいいのか、これでいいのか、nina。
周りは大正・昭和を求める。
私も好きだけど、うつせみから役者陣が脱却するとは思えないし、
2009年は感傷的な芝居は作りたくない。
もっと生命力を。
荒くてもいいから、
もっと命を感じれるものを。
熱いものを!!
だってそのために、私、舞台やっているんだもの。
そして生まれたのが、 『水の王国』でした。
桃源郷のような 理想の国。
そこに、破滅的な男ハモンが舞い込む。
理想の国は、脆くも崩れていく。
でも、その崩壊に立ち向かう人々は、どこまでも誇り高く、気高く、凛々しい。
生きるという事は
選択することの連続。
そして選択した結果を、受け止める覚悟が出来ている人間こそが、格好が良い。
その生き様が格好良い。
歴史とは、
連綿とした命のつながりをつづった物語。
悠久のときのなかで、
私の人生も、日本国の成り立ちも、星の瞬きにすぎぬ。
その瞬きの中で
一瞬の中で
私は、命を燃やしている。
そういう物語が作りたい。
だから、生命力に溢れた役者で作りたかった、というのがあります。
確かに荒いでしょう。
確かに、涙にひたりたい人には不向きだったかもしれない。
役者もその違いにおどろいたことでしょう。
でもいいんだ。
観客に伝わっている感はあるし、
私は
作品がどんなにボロボロでも、
懸命に生きる人間の愛らしさを感じる事ができたのです!
あぁ、良かった
そう思った。
私は、今後
物語性豊かな作品を描きつつ
そこに、生きる人間をより一層、あつく、描くことになるであろう予感があります。
そして、演出表現もきっと変る事と思います。
ひとつの契機になったこの作品と
そこに出演してくれたみなさんに感謝を。
批判をくださるみなさんに感謝を。
ありがとう。