BQMAP 『パノラマスヰッチ』 @シアターグリーンメインホール
久しぶりにBQを見に行きました。学生時代から断続的に見続けている劇団で、当時は身近な憧れの存在でもありました。
その劇団と同じ小屋を、わがるぼわーるも次回公演で使用することになり、下見も兼ねて見に行きました。いつも照明をお願いしている方と一緒に見に行って、観劇後一緒にいろんなお話ができたのはとても有意義な時間でした。
さて、観劇の感想です。
正直に言って、残念でした。劇場がではなく、作品が。
シアターグリーンメインホールは、がけのように傾斜のきつい客席と
客席数の割には間口が狭い舞台とで成り立っている、ちょっと使いにくそうな小屋でした。
これでホール・・・?みたいな。
いつもはシアターサンモールがホームグランウンドであるBQMAPにとっては、ここは使うに狭かったのではないかと察せられます。とはいえ、お得意の妖怪変化、ジャパネスクファンタジーではないですか。作品も演出もかげねこはここ数年来、一番残念だったといわざるを得ません。
<あらすじ>
舞台は大正時代、震災後の東京・浅草。
震災の混乱に乗じて虐殺された朝鮮人たち、命を落とした民衆達のさまよえる魂が、繊細で妄想癖の江戸川乱歩を狂人へと変化させる。土蔵奥深く、昔身を焦がした恋に未練を残し、いとしき面影を人形に託しながらより内省的になっていく乱歩。そこに芥川龍之介がのりこみ、正気に戻してやる・・・という話。
<感想>
まずテンポが悪い。
演出の迫力がいつも以上に無い。
脚本が中途半端・・・。
場面は江戸川作品を呼んだ人なら判る、各短編小説をフラッシュナックのようにつなぎ合わせ、ひとつの空間に何度も登場させるやり方。「押し絵と旅する男」「屋根裏の散歩者」「人でなしの恋」「少年探偵団」などなど。
乱歩先生の演出も判る人ならわかるしぐさ(遠眼鏡を逆さにして、自分の妄想世界に入る・・・とか)。
それでも、あの乱歩作品のモチーフをここまで詰め込んだのはすごいと思います。
それもわたしのように江戸川作品をかじった人なら、その面白さもなんとなくわかるだろうが、そうでない人は判らなかったと思います。意味のわからないシーンの連続に思えたのではないでしょうか。
またところどころの演出も大変気になりました。
全員で台詞を合唱するところ。高校演劇で、わたしもやってました。でもいまさら?
歌を歌っているのに、たぶん録音。そうなの?
全体としては、発想としてはとても興味深いものでしたが、やり切れていなかったという印象です。
さて、最近ブログで観劇した感想をチェックするのが日課になっております。
今回のBQも早速調べて見ました。大体の感想は「お話はわからなかったけど、キレイだった」というものでした。なるほど、なんとなく全体的にキレイでした。でもキレは無かったよ・・・。場面のつなぎも曖昧で、いまが何のシーンで、何の話に繋がっていくのかが観客に提示されていないので、舞台がもりあがっていても観客が盛り上がれない、おいてけぼりな感じでした。
またこれは作劇上の話だと思うんだけど、「その人物が何をしようとしていて、何に悩んでて、だれとどんな関係性を持っていて」というのが希薄だったというのも、なんとなくお話がぼんやりした原因に思えます。
もちろん良かったところもあります。
狭い空間で7本ほどの大判傘を持っていたこと。着物がアンティークの銘仙をそろえたようで、その鮮やかさといったらありませんでした。あえて言うならば・・・髪型。歴史に忠実にするかデザインチックにするのかをはっきりして欲しかったです。そこが現代人が着ている感があって、ちょっと残念。和装はむずかしいわねぇ・・・。
<視点を変えて感想>
ここで視点を変えて考察。
主宰とも簡単にメールしたのですが、ここまで文句を言っていて、じゃぁ次回は見ないかというと、答えはNOです。時間があれば見に行くと思います。
というのは、まだ何か期待しているといのと、役者は好きだ、ということ。
とくに郁子さんと、前田剛さんはなんだかんだ言っても自分の役を自分のものにして演じている
注目役者さんだから。
作品のうまい下手というのは、観客を次回作品閲覧の最終的結論にはならないと思います。
要は、好きな役者がいて、好きな世界観なら、観客は心揺さぶられ、異世界に迷い込むような2時間を期待して観劇料を払うということ。
次回は「天守物語」だそうです。
明治時代に活躍した幻想作家、泉鏡花の作品ですね。
さて、どう出てくるのか、楽しみにしています。