舞台が作られていく過程。いつも興奮します。頭のなかで描いていたことが、私以外の人の手を借りて立体化されていく様子。一つの板の上に、照明さんと舞台さんがそれぞれの分担箇所を載せていく過程が好き。(私は何もできないけど)
照明かセットか、といわれたら間違いなく照明さんに目がいく。格好よすぎる。コレは長いこと一緒させていただいているスタッフさんの影響もあるけどさ。
皮手袋、設計図(仕込図)、脚立に上ってシュートをする姿。行き交う色番号と、フェーダーの名前。
碧色の照明は、ブルーのグラデーションが殊に美しい。セットへのあたりも素敵だ。今までは光の筋をParライトでビームのように出していたが、今回はない。かわりにブルーのグラーデーションが舞台をオーロラのように照らし出す。
セットの水色とグレーの布が、暗闇のなかに照らし出されると、行灯のようになる。透明で屈折した光のなかに閉じ込められた迷宮の奥の間が浮かび上がる。水に閉じ込められた迷宮は、大人になりきれない女王の孤独に結びつく。ゆらゆらと揺らめいて不確か・不安定。
ラストシーン、緊張感溢れる音楽とともに平衡感覚を失っていく色彩。舞台を横切る赤の布がくっきりと鮮やかに。音楽の爆発と一緒に真っ白に(本編初めてというくらい)真っ白になる瞬間。とか。中央のカーテンに最後にうつる、二人の手をつないだシルエット、とか。
素敵過ぎる。
今回の明かりあわせは、ハっと息を呑む瞬間が多かった。
舞台はどれだけ観客の創造力を稼動させるかだ。人間の想像力があるから舞台って存在してる。その「創造させるスペース」を稽古中に計算できる演出家になりたい。
(その前に脚本ってね 涙)
5日間に及ぶ打合せが、こんな風になるんだな。私は贅沢ものですわよ、ホント。
照明さんの皮手袋に密かにあこがれるって、照明スタッフさんに言ったところ大笑いされた。もっと舞台のことが知りたくて、照明手伝いをしながら仕込み図と釣り位置を何度も確認して、飛ばす指示にも耳を傾けたりする。
客演の役者がこのときは照明スタッフさんに早代わり。写真は彼です。アゴうつってないけど。役者なのに嬉嬉としてお猿さんのように高いところを飛び跳ねる彼の体力はすごいもんだ。客演なのに・・・ゴメンよォといつも心のなかで言ってみてる。
ポップで鮮やかな。ディズニーランドのアトラクションのようなイメージ。プロレスの登場シーンのイメージ。地下道、中継、水に閉じ込められた少女・・・そんな注文を全部かなえてくれた高野さんい心から感謝。ありがとうございました。