一緒に夕飯を食べていて
御歳80を越えるおばばさまの昔話に花開いた。
 
9人兄弟の末っ子、おばばさまが生まれたのは、大正9年。
3歳の時に関東大震災を向かえ、
昭和元年には尋常小学校を卒業した。
 
わがまま末っ子は、
大事に育てられ田舎にはめずらしく女学校に通う。
「勉強好きだった?」ときくと、にまっと金歯を除かせて笑うところをみると
あまり成績は思わしくなかったか?
女学校は花嫁学校だとのことで
洋裁、和裁の専門学校をイメージ。
おばばさまは未だに、縁側のミシンで洋服を改造する。
 
女学校を卒業し、しばらくして10歳上のおじいちゃんに23で嫁いだ。
長男を身ごもった年、夫は外地へ戦争に赴き、
安否がしれぬまま終戦。
夫が兵隊から帰ってきた時には長男はすでに3歳。
顔がわからなかったと言う。
 
江戸から続く地主だった家は、終戦後の農地改革で
その大半の農地を二束三文で国に持っていかれる。
 
激動の時代を生きたおばあちゃんなのだ!
 
おばばさまの青春は、昭和初期のまだ華やかな時代から
戦局の激しかった10年代末。
不思議ですよね、
その頃からまだ100年も経ってははいないのです。
その間に世の中の道理も人々の生活も変わったわけで。
 
2100年の今、わたしの孫はどんな生活をするのだろうか?
ここのところ「未来」を描く映画はすべてどこか悲壮感を持っているのが
気になる。
 
楽しそうに話すおばばさまを見て
9人兄弟の末っ子娘の在りし日のおマチさんが
風呂敷を抱えて女学校へ急ぐ姿が思われて
なんだかうれしくなってしまいました。