昼過ぎに母がパートから帰ってきた。

顔の左半分にくっきりと親父の手形が付いていました。

親父:『友達にどない言うて説明したんど?』

母:『ちゃんと説明したわいな。』

親父:『ほんまに、ちゃんと説明したんか?』

母:『ちゃんと説明したわいな。』

親父:『どない言うて説明したんど?』

母:『「家でこけた」言うて説明したわいな。』

親父:『家でこけたら、そないな手形が付くんけ?』

母:『私がこけた時に父ちゃんが助け起こそうとして手を出したら顔に当たったんや。と説明した。』

親父:『ほんで、みんな納得したんけ?』

母:『納得した。』

親父:『どない言うて納得したんど?』

母:『優しいお父さんやねんけど。たまたま当たり所が悪かったんやね。』

親父:『ほんまに納得したと思うか?』

母:『納得した。と言うてるねんから、それでええやないの。』

親父:『正直に、ほんまの事を言うた方が良かったんと違うんけ?』

母:『ほんまの事なんか言えるわけないやないの!』

親父:『何で、どつかれたか? その理由も説明せんとあかんさかいなぁ。』

母:『もうええやないの。済んだことやねんから。』

親父:『これからも嘘で塗り固めていくんけ?』

母:『・・・・嘘なんか吐いてへんやないの。』

親父:『昨日、何で俺にどつかれたんど?』

母:『・・・もうええやないの!ひつこいなぁ!』

母は一方的に話を打ち切ってしまった。

が・・・・

母のおかしな説明によって、親父が母に焼きを入れるためにドツイてしばらく痣となって残った手形が、母を助けようとしてできた≪親父の愛の手形≫という話になってしまい、

母はこれ以後、親父を暴力亭主とはいえなくなってしまいました。
それと、親父のやることに反抗することができなくなってしまいました。

反抗して弱い者虐めをしたら、また焼きを入れられて右側にも親父の手形が付きますからね。

母のパートの友達は≪親父の愛の手形≫と信じ切っているのですから。
母も同じ説明を繰り返すのが苦痛だったのかもしれませんね。
同じ事が繰り返されたら誰でも不審に思いますものね。

母は自分の所業を知られることが一番怖かったのかもね?