内緒話 1。
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『小母ちゃん。改めてお願いします。この度の相談の件なんですけど、≪何で、そういう事になったのか?≫、そうなるまでの「切っ掛け、経緯」、それに至るまでの「経過」を説明してもらえますか?」』
文具店の小母さん:『切っ掛けは、ここで、あの人(チリチリパーマのおばはん)と普通に世間話していたときに、順番に、いろいろと集金に来てね。私も明くる日が祭日やということを、ころっと忘れてましてなぁ。おまけに、その次の日から土日で三連休やったことを思いだして・・・「豪い事やわ。どないしょうかしら・・・銀行へ行くのをコロっとわすれてましたわ・・・しかたがないね・・・仕入れを待ってくれるように問屋さんに電話を掛けときましょ。」と言うたことが切っ掛けですわ。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『(メモを取りながら)それから、どうなりましたん?』
文具店の小母さん:『そしたら、あの人(チリチリパーマのおばはん)が「電話を掛けんかて一寸くらいのお金やったら貸してあげるさかい心配せんかて大丈夫や。とりあえず10万円ほどあったら当座はしのげますやろ。すぐに取りに行って帰ってくるから待っとってなぁ。」と言うて何や一方的に貸してくれたような形ですねん。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『それで返済についての話はせんかったん?』
文具店の小母さん:『しましたよ。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『どういう話をしたん?』
文具店の小母さん:『「週明けに、すぐに銀行へ行って、その足で返済に伺いますから、それまで貸していただきます。奥さん、おおきに。」と言うたんですけど、あの人(チリチリパーマのおばはん)は「奥さんも年金生活でカツカツの生活なんでしょう?無理せんかて次の年金の日までの二カ月間待ってあげるから、それまで、ゆっくりしてたらよろしいやん。私は何処へも行かへんのやから心配せんかて大丈夫やで。」と豪いええ人のように言うてましてんけどなあ。あの人の言葉に甘えたことから、こんなん事になってしまいましたんや。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『うん・・・・。小母ちゃん、その時のことを証明できるモノとか、証人なんか、居゛ら゛へんわな゛ぁ゛・・・、切っ掛けと経緯を証明することから難しいなぁ。どうやって持っていこうか・・・?』
私:『小母さん、私でも良かったら証人になるよ。私もその時に居ったから。』
勉強の1番番長のお兄ちゃんはカーテンを開けて、『その時、あんたは何処に居ったん?』
私:『私は店の奥の方で色鉛筆を探しててん。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『色鉛筆を何に使うのん?』
私:『人形さんを書くのに。デザイン画というヤツやねん。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『あんたが、その時、「ここの居った」と証明できることはある?』
文具店の小母さん:『うちにはレジを置いてないからレシートもありませんからねぇ。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『レシートやなくてもええよ。あのオバハンになんか印象に残ることを言われたとか。何でもええよ。』
私:『言われた。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『どんなん事を言われたん?』
私:『正確には私やなくて小母さんに言うてたんやけどね。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『何を言うたん?』
私:『あのオバハンがね、小母さんに「あんたも気を付けて、よく見張っかんと、あの子に万引きされるで。あの子は、しょっちゅう来てるで。子どもやあるまいし、こないに、しょっちゅう来るんは怪しいで。」と言うてましてんわ。』
文具店の小母さん:『はあ。はあ。思い出しました。確かに言うてましたわ。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『「切っ掛け」「経緯」についての証人。有。』とメモっていました。
私:『小母さん、このシールを頂戴。帰るときに勘定してね。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『何のシール?』
文具店の小母さん:『これは・・・シンデレラ・・・かなぁ。王子様とお姫様がダンスをしてるような。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『好きやなーぁ。今でもシンデレラが好きなん?』
私:『はい。』
勉強の1番番長のお兄ちゃん:『昔からシンデレラが好きやったもんなぁ・・・、呼ぶまで、またお客さんをしとってな。』
私:『はい。』