親父は昼下がりに出かけた・・・・・しかし飯の時間になっても帰ってこなかった。

午後8時を過ぎた頃。
親父から、『今、街の北側の文具店に居るからモモンをおいで。』という電話がかかってきた。

街の北側の文具店は家から徒歩で12~3分。駅の近くにあった。
文具店に付くと店のシャッターが半分ほど空いていた。

が・・・・店の灯りが消えて薄暗かった。

私:『小母ちゃん、こんばんわー。』

文具店の小母さん:『シャッターをくぐって中に入ってきてくれる?』

私:『はーい。』と店の中に入ると・・・・店の中央の、いつもカーテンが閉められている狭い通路のようなところから親父が顔をのぞかせていた。

親父:『一人か?』

私:『うん。』

親父:『兄貴はどないしとんのや?』

私:『今日も家に来んかったで。』

親父:『左様か。』


通路のような所へ行くと・・・いつもカーテンが閉まっている向こう側は・・・2階への階段がありました。

私:『ここは階段になってたんや。』

文具店の小母さん:『階段兼、在庫行き場にしてますねんよ。散らかっててゴメンナーぁ。座るとこが無いさかい、店の向かって左の隅に腰掛があるさかい持ってきて座ってなーぁ。使うてゴメンナーぁ。』

私:『気にせんといて、小母ちゃん。』と言って自分の座る椅子を持ってきて座った。


『並んだら、よく似てるなー。』と当日の昼過ぎに再会した幼馴染の3番のお兄さん。

私:『3番のお兄ちゃんも来てはったん?』


3番のお兄さん:『この人知ってる?』と隣に座っていた同い年くらいの男性を指して私に聞いた。

私:『4番のお兄ちゃん?』

謎の男性:『違うよ。^^』賢く優しいそうである。

私:『5番・・・・違うやんな・・・? 幼馴染みに、こんな賢そうで、上品で、優しそうな人は居らへんもんな・・・』

3番のお兄さん:自分を指して『俺が居るやろ?』

私:『そんでも、この人の方が賢そうやもん。』

3番のお兄さん:『まあな。』

私:『すんません。お宅さん、どちらさんですか?』

何故か、文具店の小母ちゃんが笑いをこらえている・・・・


謎の男性:『初めまして。ここの息子です。』

私:『え?(・。・)?』

3番のお兄さん:『この人は、ここの小母ちゃんの息子やねん。ほんで俺と同級生やねん。』

私:『ここの息子さんは無茶苦茶、頭がええねんよ。公立のええ高校、行ってるねんよ。』


3番のお兄さん:『そうやで。ええ高校を卒業してるねんで。俺と同級生やねんで。』

私:『うそー。3番のお兄ちゃんも同じ高校に行ったん?』

3番のお兄さん:『そうや。頑張ったやろー?褒めたってくれるか?』

私:『当たり前やん。頑張ったんやねー。』


文具店の小母さん:『あんた等も、もうええやろ?』と自分の息子と3番のお兄さんに言い、『ごめんなーぁ。家の息子が、お父さんも来てはることやし、あんたに会いたいと言うて・・・こんな時間に来てもらうてゴメンなーぁ。』と続けた。


文具店の息子:『この子が・・・昔、裏を張ってたん?』

3番のお兄さん:笑いながら・・・『そうやねん。外だけ見てたら分からんやろ?』

文具店の息子:『分からへんなーぁ。』

と、昔の話で盛り上がり始めた。


親父:『ほな、ワタイ等は、これで失礼します。お世話になりました。あの人に、あんたからも、ワタイ等が、よく、よく、お礼を言うてました。と伝えといてもらえますか?

文具店の小母さん:『はい。よう言うときます。今日は、ホンマに、よく来てくれました。何のお構いもできませんで、すみません。おおきに。』


親父:『夜分、遅くまで邪魔して、すんませんでした。おやすみなさい。』

文具店の小母さん:『暗いよって足元に気をつけてなぁ。お休みなさい。』


家に帰りつくと午後9時半を過ぎていました。
私:『へーー。1時間も喋ってたんか!一寸、居っただけやと思うてたのに。』

親父:『ええ友達がおったんやなぁ。あいつが女で、お前が男やったらよかったのにな。』と、ポツリ。と、つぶやいた。


私:『しょうがないやんか。生まれてしもうてんから。』

親父:『昔、お前が3歳くらいの時かな・・・父ちゃんも、兄ちゃんも付いてるのに私だけ付いてない!言うてたから・・・父ちゃんも、お前が何を言うか面白かったから、≪何で付いてへんのやと思う?≫て聞いたら、お前は『私に引っ付くはずのタマキ○を兄ちゃんが先に取って生まれたからやー!』と言うて怒ってるのを面白がって見てたけど・・・シャレでは済まんことになってきたわ
。』


私:『何かあったん?』

親父:『いいや。親の泣き言やと思うて聞き流してくれ。』

私:『飯は?』

親父:『夕方に外食した。』

私:『うん。』


それから親父は、当時の創価の地区部長に電話をかけて、
『明日、家に出てこれますかいな?何時でも、よろしゅうおまっさかい。』

しばらく間があり、
親父:『今からでもええで。あんたの都合に合わせてもろうて家は構わんさかい。』

母:『今から誰か来るんかいな?』

親父:『お前等は寝とき。』

私:『茶くらい入れる者が居った方がええやろ?』

親父:『眠となったら勝手に寝るねんど。』

私:『うん。』