小学2年の夏休み前の昼下がりの頃。

私は家で遊んでいた。

何をやって遊んでいたのかは忘れたけれど・・・・端切れで袋を縫って遊んでいたのかな・・・・?

この頃、布を縫って遊んでいたような記憶がありますから。


何時もより外が騒がしいような気がしてましたが・・・・気にせず遊んでおりました。


が・・・・


兄が私を連れ出しに来ました。


私:『いやや!家に居るほうがええ。一人で行きや。』


兄:『そんなん事、言わんと、お前も来いやー。お前がおらんと困るんやー。』


私:『何でや?』


兄:『・・・・・そや!花一匁をして遊ぶのに一人足らんねん。花一匁やったら一緒に来るやろぅ?』


私:『ほんまやな?ほんまに花一匁をして遊ぶねんな?』


兄:『うん。ほんまや。嘘なんか言わへん。今度は本当やから。』


私は兄の後について・・・・家から約50メートル北上し四つ角を東に折れ・・・人気のない場所へ行くと・・・・


そこには近所の札付きの悪童とその子分、合わせて3人と5人の中学生グループがいた。



私:『男ばっかしで花一匁をやるんかー?気色悪ないか?』


近所の札付きの悪童:『司、お前、何で、こんな奴を連れてきたんや?』


兄:下を向いて・・・『他に居らんかったから・・・・』


近所の札付きの悪童:『まあ、ええは。お前も数のうちや。』


中学生グループの代表格らしき男子が、『お前、何年や?』と私に問いかけた。


私:『小学校2年や。』


中学生グループは大笑いした。



中学生グループの代表格らしき男子が、『俺は、ここら辺、一帯の1番番長や。お前らのシマは俺らが貰うた。』


近所の札付きの悪童:『勝手に決めるな!まだ果し合いの勝負はついてへんやろ!』


中学生グループの1番番長:『勝負はついてるやろ?お前のとこは腰抜けと小学2年のチビしかおらへんねんからな。無駄な勝負は止めとけケガをするだけ損やぞ。』


私:『勝負て何や?』


中学生グループの1番番長:『お前とこの番長に聞け。』


私:『そんなもん、おらんわい。私は1匹オオカミや誰の言う事も聞かんわい。』



中学生グループの1番番長:『それやったら何で来たんや?』


私:兄を指さして『兄ちゃんが花一匁をやるのに人数が足らんから来てくれというから来ただけや。』


中学生グループの1番番長:『何や、お前等は俺らと花一匁をしたかったんか?』


中学生グループは大爆笑した。


この様子を見ていた近所の大人は、『中学生の男子が自分たちより小さな子供たちを遊んでやっているねんなーぁ。』という認識でホノボノしていた。



実体は全然、違っていたんだけどね。


中学生グループの1番番長:『今から、この辺り一帯も俺らのシマや。いややとは言わさんからな。』


私:『いやや!誰が、お前らの言う事なんか聞くかい!打ち負かしや!!』と、私の正面にいた中学生グループの1番番長に突進した。


が・・・ 近所の札付きの悪童に背後から背中を思いっきり突き飛ばされて転んだ。

転ぶときに真正面にいた中学生グループの1番番長の膝に顔をぶつけて鼻血がでた。


思い出してみると蹴られたんじゃなくて顔をぶつけたのだわ。


私は起き上がり・・・・『何さらすんじゃ、おんどれー!』と近所の札付きの悪童に言った。


そして手か?足か?どこかに噛みついた。

ボコボコ殴られても、蹴られても離さなかった。



近所の札付きの悪童:『何にもしてへんやろ!?離せやー!痛いやないか!』


私は無言で噛みついたまま・・・・・ 近所の札付きの悪童の子分(兄も含めて)は逃げた。


中学生グループの1番番長:『もうええやろ。離したれ。離したれて。』と言いながら私を近所の札付きの悪童から引き離そうとしたんだけれど・・・


私が噛みついたままだから・・・・ 近所の札付きの悪童は、『痛い!痛い!痛い!痛い!・・・・・』 と言う。


中学生グループの2番番長が近所の札付きの悪童の体を抑え込んで、『お前、早、謝ってまえ。謝らんかったら、こいつかて、何時まででも噛みついたまま離さへんで。』


近所の札付きの悪童:『悪かった。ごめん。堪忍やー!』


中学生グループの1番番長:『謝っとるねんから離したれや。』 と言われても私の腹の虫は治まらんかった・・・・だから離さんかった。


そうこうしていると・・・・親父が早く帰ってきたんだよ。

騒ぎを聞きつけて・・・・・ 親父は『どないしたんや?』と近づいてきて・・・『お前等、団子になって何をやっとんのや?』と言う。



中学生グループの1番番長:『おっさん。悪い事したんは、こいつ(近所の札付きの悪童)やねんけど、チビが噛みついたまま離さへんねん。』


親父:『どこのチビさんや?・・・・・モモンやんけー!!』


中学生グループの1番番長:『おっさん、このチビしっとんか?』


親父:『家の娘やがな。』


中学生グループの1番番長:『娘・・・・おんな?』

(何時も兄のお下がりの服を着せられていたので男か女か分からんかったらしかった。)


親父:『モモン、離さんかい。離せ、言うとんや。おい!モモン、離さんかい!!』


私も親父がいることに気づいて、ようやく噛むのを止めました。


親父:『何があったんや?』


私:『打ち負かしや。』


親父:『誰とや?』


私:『こいつ等(中学生グループ)・・・・・、、、ええ??・・・・』


近所の札付きの悪童:『何にもしてへんのに何で噛むねん!』


私:『やったやないか!今、私の後ろから思いっきり押したやないか!』


近所の札付きの悪童:『何を言うとんや。自分で勝手にこけたんやないか?人のせいにするなや。』


中学生グループの1番番長が、『お前、自分の子分を痛めつけてどうするねん?俺らも見とったぞ。』と近所の札付きの悪童に言った。


中学生グループの5番目の男子:『俺も、お前が、そのチビの背中に蹴りを入れよるとこを見るたぞ。』


近所の札付きの悪童:『そんな奴、子分と違うわいや!』



中学生グループの1番番長:『それやったら何で連れてきたんや?』


近所の札付きの悪童:『そいつの兄貴に聞けや!』


親父:『司もおったんか?』


私:『うん。兄ちゃんがな、花一匁やるのに、一人、足らんから、お前も仲間に入れと言うから来てん。』


親父:『この子の言うたことは本当か?』と中学生グループに聞いた。


中学生グループの1番番長:『はい。ほんまです。』


親父:『あいつは、まだ嘘を吐く癖が直らんのんか!』と怒りが顔全体に現れて・・・・中学生グループはビビった。


親父:『(中学生グループに)家の子と遊んだってくれて、ありがとう。モモン、もう一寸、お兄ちゃん等と遊んどくか?』


私:『うん。』


親父は怒りを露わに家へ帰った。



中学生グループの1番番長:『チビ、こっち向け。』


私:『何?』と聞くと鼻に、ちり紙を詰めようとしてくれた。


中学生グループの1番番長:『鼻の穴が小さいから詰められへん・・・・』


私:『ありがとう。自分でできるから。』と鼻の穴に、ちり紙を詰めた。


近所の札付きの悪童:『お前等、覚えとけよ!』


中学生グループ:『あいつ、まだ居ったんか。』



中学生グループの1番番長:『チビ、一寸、待っとってくれ。番長会議するから。』


中学生グループの1番番長:『このシマは、あのチビを番長に立てたらどないや?』


2番番長:『小さすぎへんか?喧嘩になったら鼻血出しただけではすまんやろ?』


1番番長:『せやけど、この中で1番、腹が据わっとんで。』


他の3人:『悪ガキ(近所の札付きの悪童)をのさばらす分けにはいかんもんな。それに、あのチビだけは逃げへんかったし。』


2番番長:『小学2年やろ。喧嘩になったらどうするねん。ボロ負けやで。』


1番番長:『喧嘩になったら俺が、あのチビをカバーする。それでどないや?』


2番番長と他の3人:『中学生の番長の中に小学2年の番長が交ってるのはおかしいで。』


1番番長:『裏はどないや?悪ガキ(近所の札付きの悪童)の子分が勝手に出張ってきて悪さをさせんように通行手形にもなるんと違うか?』



2番番長と他の3人:『その手があったか。あのチビは裏いうことでいこうか。』


中学生グループの1番番長:『チビ。』


私:『何?』


中学生グループの1番番長:『チビは今から、このシマのウラバンを貼れ。』


私:『ウラバンて何や?何を何所に貼るねん?』


2番番長:『お前、何にも知らんと果し合いに来たんか?』



私:『花一匁して遊ぶと思うてたから来たんや。』


中学生グループの1番番長:『お前、何で家に帰らんかってん?兄貴が逃げて帰ったのに。』


私:『お祖父さんの名前を守るためや。』


中学生グループの1番番長:『お前、オジンの名誉を守るために逃げんかったんか?怖い事なかったんか?』


私:『怖かったけど、逃げる方が、もっと格好悪いで。名誉ってなんや?』



中学生グループの1番番長:『名誉、言うのはオジンの名前を守ることや。』


私:『そうなんか。』


2番番長と他の3人:『お前、ほんまに小学2年か?』


私:『うん。小学2年で7歳や。』



という成り行きで中学生の番長グループと友達になり、土、日、だけ一緒に遊んでおりました。