21歳で統合失調症になり
外にも出れない僕でしたが
42歳の時『特効薬と巡り愛』
これまでの時間を取り戻すかの様に目標としている🌙🌃本出版に向けて発信しています

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さっき
地下鉄に乗車した。
久しぶりである。
つり革を見ていると
興一君のことを思い出した。


中2のときに出会った。
中2のときの
仲良し5人組のうちの
ひとりである。
何の縁だかふたりして
公立高校に落ちた。


不合格発表のその日
彼から電話があった。
慰めあった。
同じ私立の高校
西南学院高校に
行くことになった。


途中から
ぼくは、自転車通学に切り換えたが
一年生の夏くらいまでは
一緒に地下鉄に乗って通学していた。
つり革を見ていたならば
なぜだか
興一君のことを思い出した。


ぼくは
公立高校を落ちて
がむしゃらに勉強した。
一日中地下鉄の中でも
勉強した。
興一君は
ちょっと、悪くなっていった。


夏休みのことだった。
興一君は夏祭りで初キスを
交わした
自慢げに話してくれたな。


夏休みが明けて
ぼくは、登校拒否になった。
ガリ勉過ぎて
友達を作るのを忘れていた。
しかし興一君だけは
友達でいてくれた。


ぼくは
時代おくれの喫煙者である。
最初に吸ったのは
セブンスターだったよ。
興一君が教えてくれたんだ。


秋の田んぼで
枯れた稲わらの陰で
吸ったのはセブンスターだった。
くら~、とした。
16才だった。


「じゅん、
タバコつうのは、
フカのは、格好悪いよな!
肺まで、入れるには、こうするっつぇー」
と、親切丁寧に教えてくれた。


興一君のお父さん、お母さん
2人の弟たちも
仲間だったな。
タバコを吸ったその後に
彼の家にあがるときには
一目散にダイニングルームに
走った。


口いっぱいに牛乳を飲んだ。
そしてくちゅくちゅとした。
臭いを、消すつもりだった。


後日、彼のお母さんに
その話しをすると
バレバレであったようだ。


いま考えると
いかにも不自然だったなと思う。


そんな興一君が
他界してもう十一年が過ぎた。
ぼくが興一君から
タバコを教えてもらってからは
三十年ちょうどとなった。


興一君が
天国で吸ったセブンスターは
あの白い雲に
なっているのかもしれない。