ちょっと以前になるが、NHKにてイチローのドキュメント番組をやっていた。番組を見た直後に記した文章を転記することにした。


イチローの孤独、、

人は、一人で産まれてきて、一人で死んでいく。
イチローも然りである。

この度、野球人生を辞めることを本人曰く、、
「野球人として、一つの死を迎える。」
と言っていた。
「(野球人生を)笑って死んでゆきたい。」
というのが、彼の理想だった。


イチローは、現役時代にいつも“孤独”だと感じていたという。
孤独だから、仲間を大切にしていたという。
シーズンオフには、日本に戻ってきて練習したりした。
その練習は、毎年神戸で行なっていた。
神戸市民の数人の有志が、練習を手伝った。
オリックス時代からの行きつけの飲み屋で知り合った有志である。
もちろん、その有志も大切にしていた。



今年の春の神戸での練習に智弁和歌山高校のブラスバンド部が、訪れた。
その際に来てくれた四十人ほどの部員一人一人に心を込めて握手していた。
部員たちはとても嬉しい表情をしていた。
一生の思い出になっただろう。
イチロー曰く、、
「この高校生たちに恥じないような野球人生をしたい。」
と謙虚であった。
ここでも、孤独であるが故のポジティブな仲間意識があった。

東京ドームでの試合を終えて引退を表明したが、試合が終わった球場は、二十分におよぶ“イチローコール”が鳴り響いた。
球場に再び登場したイチローは、終始満面の笑顔だった。
「笑って死んでゆきたい。」
と語っていたイチローが、本当に笑って野球人生を終えた。
第三の人生が始まる。