アートスクール 三人言 | FLYING KIDSオフィシャルブログ「FLYING KIDSの六人言」by Ameba

アートスクール 三人言

こんばんは。鍵盤担当の飯野竜彦です。

画家の伯父がいます。今もう確か85歳かな。凄いのは、芸大出てることではなく、今までおそらく、食べるために割り切った創作ってーのを全くしていないことです。涙 リアル画家。十年くらい前かな、まだ近所に住んでいる時、ちょっと驚かせてやろうと思って伯父のお誕生日に突然お邪魔したことがありました。その時は伯母が亡くなってしばらくしたあとだったのですが、伯父は一人台所で昼飯を作りながら、ずっと追い続けているモチーフをスケッチブックに書き殴っていました。リアル画家。涙 決して恵まれた生活を送ってきたわけではないのを子供心にも解っていましたが、老いてなお自然に貫いてるその姿勢の、なんとカッコイイことか。涙

子供の頃、その伯父が近所の子供向けにやっていた絵の教室が、僕にとっての最初のアートスクールです。

そして月日が経ち、高校を卒業して、なんの目標もないまま浪人生活に突入してしまった自分。ボーッと普通の予備校に通い、成績もずるずる低迷しながら、どうしたらよいのか考える毎日でした。割り切って必死に勉強することから逃げていただけかもしれませんが。
それまで漠然と考えていた「絵が好き」という気持ちが、具体的に「デザイナーになれば食っていけるかも」というかなり無理矢理な答えに結びついたのは、もう一浪目も暮れにさしかかった頃でした。今思えば、よくもまあこの土壇場での「芸転」を親が許してくれたと思います。涙 とは言え、方針に決着が付いたのはもうすでに私立の願書を締め切ったあと。 残るは芸大だけ。爆 で、伯父のアトリエに通って石膏デッサン特訓しましたね。伯父は喜んでくれていましたが、もちろん芸大はデッサンで落ちました。笑
で、フセマンがちょっと書いている「美大の予備校」に行くわけです。「研究所」なんて言い方の方が格好良かったりするわけですが、自分が通ったのはあの「代ゼミ」の造形学校でした。受験、というプレッシャーはもちろんあったけれど、結構夢中でいろいろ書いたり造ったりで楽しい日々だったな。同じクラスに、あのテイトウワと、フライングキッズ初代ベーシストであり、後に伝説的なサーフバンド「ジャッキー&ザ・セドリックス」を結成するエノヤンこと榎本君がいましたね。なんか不思議でしょ。

で、翌春、多摩美に入学。多摩美術大学美術学部デザイン科グラフィックデザイン専攻。長ったらしいですね。デッサン、平面構成、空間構成、写真、版画(シルクスクリーン)、タイポグラフィ、印刷、美術史、色々やったなぁ。
周りはこれまた楽しい友人ばかりで、課題はキツかったけど充実した日々でした。周りの友達はみんな絵が好きだった。でも、もうすでに「アート」としての作家みたいなものに対する憧れを横において、結構現実的に就職のことを考えてましたね。
そんな中、自分は今度はバンドばっかりやっちゃうワケです。なんと親不孝か。涙 でも課題は真面目にやってましたよ。徹夜ばっかりしてた。でも結局音楽の方に来てしまった、という友人も多く、2年下にDRY&HEAVYの外池君、3年下にゆらゆら帝国の坂本君、ネタンダーズ/スライマングースの塚本君、コーネリアスやデリコのサポートで売れっ子の堀江君などがいます。あ、一年上に聖飢魔2の石川さんもいたなぁ。豊作ですね。みんな学校にいる時から結構濃ゆいヤツでしたよ。
本業の方で有名なのは一年下の佐藤可士和君かなぁ。彼はスッゴイ髪型してでっかいラバーソウル履いて、ニューウェーブのバンドやってましたよ。派手だったなぁ。笑

いろいろ書いているとキリがないですね。涙

で、好きな作家。
音楽もそうですが、すっごい色々な人が好きですね。ジャンルとか関係ない。それは絵も同じです。でも挙げていくとそれこそキリがないので、今日は2人。

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パウル・クレー。やっぱこの人一番好きですね。最初に見たのがこれ、「さわぎく」だったんです。昔、日経の日曜版だったかな、付録で毎週名画が載ってたんですが、これはなんつーか、ビビリましたね。クレーといえばあのかわいい「忘れっぽい天使」が有名ですが、これちょっと怖いでしょ。でも、子供の頃のそういうちょっと怖い印象って残るんですよね。この「怖さ」みたいなのが、アートにとってすごいポイントじゃないかなと思うんですよ。クレーも、他の綺麗なコンポジション的な作品を画集で見てばかりだったらそんなに刺さらなかったと思いますが、最初がコレだったので刺さりましたね。また、その「他の綺麗なコンポジション的な作品」っていうのも、本物を生で見るとすごくその時間とか人間とかが感じられて、圧倒されます。決して綺麗なイラスト的な作品じゃないんですよ。


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クノップフです。
予備校時代に、デッサンの先生に「おまえの絵はベルギー象徴派みたいだな(笑)」と言われました。もちろん、ヘタな事を揶揄する意味で、です。笑 でもまたこういう言葉が残っちゃうんですよ。その年に展覧会があったので、すかさず見に行きました。引きずり込まれましたね。なんというか、記憶が形になってるみたいで。
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クノップフもう一枚。記憶が形になってる、と言いましたが、こういう風に写実的でもその印象が変わりません。頭の中、心の中を見せつけられているような気がします。

P.S.
浜ちゃんが書いている、東京都写真美術館。偶然ですがこの間やっぱり寄ってきました。安いのと、落ち着いてるのがいい。サルガドの「アフリカ」も良かったですが、同時にやってた「写真新世紀」の入選作展もとても良かったです。