アイドル伝説えり子 | Flying Beauties -美女空中浮遊体験集-
2009年04月30日(木)

アイドル伝説えり子

テーマ:その他

今からちょうど20年前、1989年4月開始の連続アニメに、アイドル伝説えり子というものがありました。
今回はそれを取り上げます。


アイドル歌手としてデビューしたえり子の成長を描くこのアニメ、このブログで取り上げるのには理由がありまして、なにげに主人公えり子飛行シーンが多いのです。
アニメヒロインとはいえ、魔法少女でなく、サイキック少女でもなく、宇宙少女でもなく、セーラー戦士のたぐいでないにもかかわらず!
たいていはステージで歌う劇中歌のシーンの最中、実際に宙乗りしたりはせずあくまでもイメージとして、背中の翼で高々と空を舞うような映像が挿入されるケースだったりします。


そういえば、番組オープニングのタイトルバックアニメにも、スポットライトを浴びながら宙を舞い降りてくるえり子の姿がありました。
言うなれば毎週必ず空を飛ぶヒロインだったわけね。こうなると『うる星やつら』のラムちゃん並の飛行頻度です。


アイドル伝説えり子・オープニングタイトルバック


おお。
実際には下から上へゆっくりパンしていく映像なんだけど、初めて全体をつなげて見たら、なかなか壮観だな(笑)。
しかし、こんなにハデな仕掛けを用いるステージのシーンなんて、本編にはまったく出てこないんだけどネ。


さて、その『アイドル伝説えり子』の中に、こんなシーンがあるんです。
第30話心の雨に子守唄からのワンシーン。


アイドル伝説えり子


婦警コスプレ(?)姿のえり子が、同僚刑事や上司(よく見ると『あぶない刑事』の中条静夫そっくり)の目の前で、ふいに宙へと舞い上がります。


アイドル歌手がなんで飛ぶ? しかもなんで婦警?


という疑問を、これだけでは禁じ得ないところです。
実はこれ、劇中劇。ドラマだか映画だかわからないのですが、えり子の役どころはミニパトを駆る婦警であるものの、どうやらただの刑事モノではないようで、マントをつけて空を飛ぶ不思議な少年と警察とのチェイスを描く、SFドタバタ劇っぽい作品らしいです。
「らしい」という不確定な言い方しかできないのは、アニメの中では完成した作品が披露されるわけじゃないから。
あくまでこのように、アイドルとして忙しく活動するえり子の仕事ぶりの一環として、その撮影の様子だけが伝えられます。


アイドル伝説えり子


こんな感じ。
要はワイヤーアクションなんですよ。
えり子の腰のあたりから白っぽいワイヤーが伸びているのが、ホントはかすかに見えるんだけど……画像縮小したら見えなくなっちゃったな。


アイドル伝説えり子


スタジオセットの上まで吊り上げられ、女性スタッフの力を借りてそこへうまく着地。


アイドル伝説えり子


宙吊り初体験のえり子。やはり日常では経験し得ない浮遊感覚に魅せられたのでしょう。
気持ちよかったァ!
と微笑みます。ただ、


アイドル伝説えり子


あらためて自分の吊られた高さに気づき、思わずへたれ込んでしまうのでした。


アイドル伝説えり子


アニメの中では空を飛ぶキャラが登場するなどよくあることですが、このように実写でのワイヤー撮影をそのままアニメで表現しているケースは、かなり珍しいですね。
飛んだあとのえり子のリアクションの可愛らしさもあり、なかなか侮れない映像なのです。


ご存じの方は多いと思いますが、このアニメ『アイドル伝説えり子』、実在の新人アイドルの実際の芸能活動とリンクして作られるという、かつてない画期的な趣向の連続アニメでした。
主人公の名前が同じだったり、ストーリー上の劇中歌もすべてその実在のアイドルがリリースしたシングル曲を用いていたりします。
そう、田村英里子ちゃんですね。
デビュー当時の楽曲は、天才メロディメーカー筒美京平氏を擁した名曲ぞろい。そういう見どころ(聞きどころ)も、このアニメにはありました。


何よりこれ、放映当時はテレビ東京の全番組中でトップの視聴率を誇っていたそうで。
筆者はその頃このアニメは見ておらず、どうしてそんなに人気が高いのかさっぱりわからなかったのですが……再放送をチェックしてその秘密がわかりました。


けなげで純粋で天賦の才能にも愛された少女に容赦なく押し寄せる試練と陰謀の波。
これはまさしく、我々が青春時代に楽しんだ大映ドラマの展開そのもの!
今なら東海テレビ枠の昼ドラか韓流ドラマDVDじゃないとなかなかお目にかかれないような……まさか夕方放映の子供向けアニメにこんなストーリーが仕組まれているとはね。
一度見たらハマるんです。ズルズル引きずられちゃうんです。
なるほど、高視聴率も納得の内容でした。


この『アイドル伝説えり子』の成功に味をしめたか、翌年になって同様に田中陽子という新人アイドルをフィーチャーした『アイドル天使ようこそようこ』のオンエアが始まったのですが……一部マニアを除いては人気的にあまりパッとしなかったと記憶しています。
えり子』と何が違ったのか、実際に見ていなかった筆者にはよくわかりません。
アイドル歌手の全盛期も終焉に近づきつつある時期だった、というのも不幸の一因だったのでしょうが、新人アイドルとアニメとのタイアップというこの新機軸は結局この2作で終わり、業界には定着せず現在に至っています。


では、その後の田村英里子ちゃんは?
これは多くの人がご存じでしょう。今はハリウッド女優として活躍されていますね。
先日公開された実写版ドラゴンボールにも出演されるなど、本場ハリウッドでのワイヤーアクションも経験されています。
その渡米前の彼女がCMで披露した空中浮遊映像について、撮影の裏話も含めてこのブログで取り上げるのは、また次の機会にしておきましょうか。


そして、田村えり子役の声優・矢島晶子は?
現在も長寿のアニメ番組で主役を続けています。


「おー、オラ、しんのすけだぁ」


という名ゼリフでおなじみ(笑)。
しっかし、何度聞いてもえり子と同一人物の声とは思えんなぁ。



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