クロトワはクシャナを女として見ていた | アンニュイねこな生活

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愛車ランエボこと「ランサーエボリューション4」の改造レポートを中心に日々の生活をぐだぐだとつづっていく、ゆるい感じのブログです。

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名実共に誰もが認める、日本アニメ界の最高傑作のひとつ
「風の谷のナウシカ」のマンガ版を読んだのですが…
かなり面白かったのでブログに書きます。
ちなみにネタバレです。

全7巻で内容はアニメとは全く違います。
世界観は同じなのですが、アニメでは触れなかった設定があまりに多く、マンガの方が圧倒的に複雑です。

世界は「トルメキア」と「ドルク」の二大国家が戦争状態にあります。

フカイが生まれた理由はアニメでも知ることが出来るんですが、真実はマンガを読まなければ分かりません。
ナウシカはアニメの設定の何倍もの重みを背負い、世界の運命を担う事になります。

トルメキアのクシャナとクロトワの印象がアニメと比べると、全然違います。
クシャナは部下の死に涙を流すほどの優しい心の持ち主ですが、
子供の頃の経験が彼女を強くしています。
王位を巡る争いで毒を盛られるが、それを身代わりに口にした母親は精神を病んでしまいます。
人の上に立つのに相応しい人格の持ち主。

ちょっとエヴァンゲリオンのアスカと似てるかな…
ユパがクシャナの身代わりとなって命を捨てる、それほどの人物です。

クロトワは頭の切れる有能な人物ですが、平民出身で、皮肉っぽい性格、生き残る為なら手段を選ばない。
意外とカッコいいです(笑)
元々はクシャナを監視するスパイでした。
クシャナをスケベな目で見ている所がアニメには無い所ですね。
クシャナを抱き抱えて助けるシーンがあるんですが
「次はヨロイ無しで抱きたいねぇ」と心の中で言っています。

アニメには出てこないキャラクターもたくさん居ます。
ドルクのケチャという女性は最後までユパやアスベルと行動する重要なキャラクターです。
印象に残ったシーンがあるんですが
ガンシップに乗る風の谷のミトがユパ、アスベル、ケチャの三人と合流した時
ナウシカがアスベルの巻いてくれた包帯を今でも大切に身につけていて「忘れたことないわ、この包帯をしてくれた人のこと」と言っていたと、ミトがアスベルに伝えたとき、アスベルはナウシカを思い浮かべながら黙り込んでしまう…
そんなアスベルの横顔を見ながらケチャは嫉妬心を抱くんです。
アニメには無かった、人の微妙な心情も細かく繊細に描かれています。
虫たちはフルカラーのアニメより、モノクロのマンガの方がグロテスクに描かれています。
アニメにはほとんど出てこない人間の血も遠慮なく描かれていて、人の頭が吹っ飛んだり腕がちぎれるシーンは珍しくない。

とにかく全てがリアルに描かれています。
このマンガに忠実にアニメが制作されていたら、おそらく「AKIRA」に匹敵するほどの衝撃作になっていたでしょうね。
ただ、大衆受けしない、マニア向けにもなっていたでしょうね。
宮崎駿がこんな創造力の持ち主で、多くのジブリファンはその事を知らないんじゃないかと思うと、ちょっともったいない…
今思うと、この創造力を少しだけ発揮した作品は「もののけ姫」だったのかもしれないですね。

そういえば「スペースバトルシップやまと」の監督がインタビューで、いつか実写化したいアニメは「風の谷のナウシカ」だと言っていたと思うんですが…
それだけはやめて欲しいですね(笑)