静かな島だった。






見るべきものはほとんどなかった。



島の端っこの時計台は落書きだらけで、いくらヨーロッパの電車やら遮音壁やらの落書きをもう見慣れてしまったとはいえ、哀しみを感じずにはいられなかった。






時計台の帰り、海を目指して適当に路地を下った。



ほとんど誰とも会わなかった。



どこかのタベルナの看板を1人見上げた。