World of Paranoia -2ページ目


ひとの靴音を聴いて、こんなに悲しくなったのは、はじめてでした。

コツコツ、だなんて生易しいものではなくて、カッカッ、と鋭利で攻撃的な音が目の前を素通りしていった。

その人の、靴音がね、私のまったく知らないもので、それだけが少し悲しかった。

私はまだ足音の鳴らない靴を履いていたから。

ちっとも変われず、情けないくらい、馬鹿馬鹿しいくらい、同じままで。

あの人が、あんな靴を履くとは思わなかった。

いや、きっと、いつか履くのだろうと思ってはいたけれど、もっとずっと遠いことだと思ってた。

そんなの、ぜんぶ私の勝手だった。

本当にすべてが、馬鹿馬鹿しくなった。よい意味で。

あの靴はとても歩き易くて気に入っているからまだ脱がないけど、でも、立ち止まらないよ。


私もいつか、ルイが咲に履かせたような真っ赤なハイヒールを履いてひとりで歩くようになるのかな。

ほら、僕がいないと歩けない

そう笑って意地悪に満足そうに手を引こうとする彼を追い出して、ヒールが折れてしまったとしてもひとりで駆け回るラノは、めちゃくちゃだけどかっこいい。

カツカツ、という靴音を響かせる彼女。

ガッコガッコ、という気持ちの悪い音を奏でて足を引きずりながら帰った渚。

きっと同じ靴を履いていた。

赤いハイヒール。






ああ、そうだ。


ポイフルの方が美味しいし、

マーブルチョコの方が美味しいから、

私はかわいくもかっこよくもなれないんだ。






私だって猫脚のバスタブを可愛いと思いたいし、

かわいい女の子はジェリービーンズを食べるし、かっこいい男の子はM&Mチョコを食べる。
そんな素敵な当たり前に縛られていたいし、それを「きゅうくつだわ」と眉を下げて肩をすくめてみたい。

チョコレートの甘さを「ずるい」と表現したいし、それはもうとびきりぴったりな形容の仕方だと感じて飛び上がりたかったくらい。

ええと、あとは、それから。

上野美術館の周りの敷地は心躍るけれど、心がざわざわするからあまり好まない。

私には心がざわざわする場所がいくつかあって、それは、あまりよくないことだと思う。

場所って言うよりも、ほんとうは、なにもかもがそう。

なにもかもが、きっかけになる。

綺麗な女の子と同居してみたいし、私はひーちゃんのことが好きだし、ひーちゃんはすごく綺麗でかわいい。

ヒーチャン、その人のことを知らない人には誰かの名前がカタカナで耳に入るの。

レイコさん、がそうだったように。


嘘ついてやろうと思ったのに、私は馬鹿みたいに正直だ。



いつか必ず、読むんだ。






趣味、って都合のよい便利な言葉だなあ、と思った。

私には、誰にも言わない秘密があります。

誰にも、では無いけどね。

こうやって、どんどんどんどん秘密が増えていくんだなあ、と思った。

若いうちに。

もうあまり若くないから。

使いものであるうちに。


秘密って、思いのほか重いものですね。

たくさん持ち歩いている人はすごい。

私はすぐがんばれなくって捨ててしまうから。

というか、いつのまにか落っことしてる。

交番に行くのも億劫だから、そのままにしちゃう。

ええと、なんの話だっけ。

そうだ、秘密の話。



花火大会楽しかったよ。

ありがとう。