昔むかし

...といっても30年くらい前のこと



「できない」なんて言ってる場合じゃない!

とか

苦手なことでもとりあえずがんばらないと!!

とか



それはそれは

がんばっている

がんばり屋がおりました



がんばり屋さんは

どんなことにも全力で取り組み

できないことも

苦手なことも

なんとかこなしていました



そんなある日

がんばり屋さんは急に

動けなくなってしまったのです



動けない自分が情けないあまり

がんばり屋さんは自分を責めて

責めて責めまくりました



そうしている内に

がんばり屋さんは

起き上がることすらできなくなりました



もう

自分を責める気力もありません

ただひたすら

横になり

からだを休める日々



そうして

できることだけ少しずつしている内に

がんばり屋さんは気がつきました




「できないこと」があっていいんじゃない?

「苦手なこと」があってもいいんじゃない?




どうしてわたしは

「できないこと」「苦手なこと」が

あるといけない

って

思っていたんだろう?



がんばり屋さんが

そのことから抜け出そうともがき

やっと

抜け出せたとき

もう40代の終わりでした



現在50代になった

かつてのがんばり屋さんは

もうちっとも

がんばりません



できないこと

苦手なこと

やってみることもありますが

「おねがい」と「助けて」を

覚えたので

手放すことができるようになったのです



自分の

「できないこと」「苦手なこと」が

「できる」「得意」なひとがいる



そう

わかると

生きることが楽になることを

かつてのがんばり屋さんは

学んだのです



そうして

自分の「できること」「得意なこと」を

すると

とても

自分が喜ぶことが

わかって

毎日が小さな楽しみで

満たされていったのでした



おしまい