1.9(1)試験の結果

 

<試験の結果は?>

通常、ソルト空港の駐機場に飛行機を停めるとすぐに合否が言い渡されます。合格だと試験官が握手を求めてくれることになっているはずなのです。「合格」とは言われたのですが、何だか試験官の機嫌が今一つでした。着陸復行やらS旋回やらで時間が大幅に伸びてしまったことが原因かもしれません。えーん

 

でも、ホッとしたのか、いつものように涙がこみあげてきて止められません。事務所に戻るとやっと試験官も機嫌を直してくれたのか、普通の感じに戻って合格証書を印刷してくれました。米国の場合、この瞬間に自家用操縦士として飛ぶことができます。「合格ってこんなに地味なものだったのか」という感想でしたが、それよりも「涙を止める術」を習わないといけないと思いました。

 

ちなみに、日本では、職業として操縦している人だけが「パイロット」と呼ばれますが、米国では自家用操縦士免許(PPL)を持っていると「パイロット」と呼ばれます。これは面白い違いです。

 

その日、この数か月の緊張が一気に解けて、ものすごい脱力感に襲われました。訓練中、「イエーイ」というハイテンションは、ファースト・ソロの初めての着陸の時だけで、あとはドンくさい、泥臭い、いつも余裕のない必死な私でした。

 

周りの人達も、私が一回で合格するとは思っていなかったので、私に結果を聞くのを遠慮してたみたいで、数日後に「あのさあ・・・どうだった?」なんて感じでした(笑)皆さん、優しいです。

 

<翌朝>

翌朝、早朝にものすごい音の雷で目が覚めました。雨も止んで晴れ間が覗いてきたので、朝の散歩をすることにしました。行く当てもなく、ただ、朝日の方へと歩いていくと、なんと拠点空港のターミナルの反対側に着きました。単に、滞在先の東側に空港があったってことですが・・・

 

しばらく、金網越しに滑走路や飛行機をボーっと見ていました。空を見ると雲の切れ目から差し込む太陽の光がきれいな色に染まっていました。帰国は数日後に決まっていましたが、このままここで飛行機に乗り続けられたらどんなに幸せだろうなあと思いました。(エアワークは除く。)(笑)(続く)