1.7(4)夜間飛行(Night Flight)

<夜間飛行の規定>

米国で自家用操縦士免許(PPL)を取得するためには、夜間飛行も行わなければなりません。14 CFR 61.109項には、合計3時間以上の夜間飛行を行うことが要求されていて、その中に、場周経路(Traffic Pattern)で10回以上の離着陸を完全停止(Full Stop)で行うことと、総距離100海里以上の野外飛行を一回含めなければならないとされています。

eCFR :: 14 CFR 61.109 -- Aeronautical experience. (FAR 61.109)

*「14CFR」については、過去の記事をご覧ください。

1.2 (5) 航空法 | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)

 

PPLを取得する上での「夜間」については、以前、「1.2(5)航空法(Regulations)」1.2 (5) 航空法 | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)で少しだけ触れましたが、「夜間」とは何時から何時まででしょうか?

 

ややこしいのですが、米連邦航空局(FAA)で規定している「夜間」には3種類あって、一つは「日没から日出まで(航空機の照明や飛行場灯台に適用)」、もう一つは、「夕方の市民薄明の終わりから朝の市民薄明の始まり迄の時間を現地時刻に換算した時間(ログブックに適用)」、最後の一つは「日没の1時間後から日出の1時間前まで(機長(PIC)として乗客を乗せるための有効性を決定する際の最近の飛行経験(Recent Flight Experiences)に適用)」です。夜間とされる時間は、一つ目が一番長く、最後が一番短くなります。

 

覚えやすくするために「3種類ある」と書きましたが、実際は「正式な定義は二つ目であり、あとの二つは特定の用途のために用意されている」という感じだと思います。市民薄明の定義については、米国立気象局(NWS)のホームページDefinitions of Twilight (weather.gov)に記されています。

 

<夜間飛行での見え方>

夜は見えにくかったです。場周経路の飛行では、飛行場灯火に十分注意しないと、接地点を間違えてしまいますし、進入経路(Approach Path)が分かりにくかったです。

 

野外飛行では、途中、航路上の地上の物標がとにかく見えにくい。特に、湖などは真っ黒に見えるので当てになりません。街の灯りや高速道路の自動車のライトを頼りにするのが一番安心でした。意外だったのは、空港は暗い広場のように見えるので探すのが難しかったことです。その時、参考になるのが飛行場灯台(Rotating Beacon)でした。クルクル回って光るので、他の灯火や照明とはちょっと感じが違い、それを頼りに飛行場を見つけました。

 

座学で「疑似水平線(False Horizon)」について習いました。これは、PHAKの第17章「航空における医学的要因(Aeromedical Factors)」で、「「夜間視力の錯覚(Night Vision Illusion)」の一つとして説明されていますが、これはとても興味深い内容でした。

PHAK日英対訳ノートより

自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)

 

これは、実際の地平線(水平線)が不明瞭であるとき又は比較的暗い海や湖に向かって飛行しているとき、明るい星と街(海岸線)の灯りを混同することで起こるものです。座学で習ったときは、「そんなことがあるものか」という感想でしたが、実際に飛行中に経験したのでビックリです。

PHAK第17章「航空における医学的要因(Aeromedical Factors)」は、他にも興味深い題材が沢山盛り込まれています。「飛行中の視覚」に関しては、目の構造、視覚の種類(明所視、薄明視、暗所視)、暗順応などにも説明されていますし、他に、低酸素症、過呼吸症候群、中耳炎及び副鼻腔の問題、前庭器官が起こす錯覚、空間識失調、目の錯覚、空酔い、ストレス、疲労など、盛りだくさんです。

 

試験までおよそ2週間。そろそろ口述試験(Oral Portion)の勉強開始です。ところが、これまでの私は本当に余裕がなくて、ノートの取り方が支離滅裂です。これをあと2周間でまとめて覚えることができるのか。もっと早く始めるべきだったかも・・・と思ったときは遅いのです。(続く)