1.7(2)外を見ないと雑念が取り払われる?

<フードを被って外を見ないで飛ぶ練習>

自家用操縦士免許(PPL)の飛行経験の要件には「Hood」という項目があります。操縦室内の計器は見えるけど外の景色は見えなくするサンバイザーやゴーグルのようなものを装着して、合計で3時間の飛行経験を積む必要があります。教官からの「高度を1500フィートまで降下させ、針路270にしてください」などのオーダー通りに飛ぶわけです。最初は、複数の項目を言われると、一つしか覚えられなくて聞き返すことが多くて情けなかったです。

 

よく到着前にこの練習をしましたが、この教官のオーダー通りにフードを被って飛行し、「はい、フードを外してください」と言われると、あとは滑走路目掛けて着陸するだけの地点にいるので、1回で言われたことを覚えられない私に飛び方を教えながら、こんな誘導(Vector)ができるのは魔法のように感じました。

 

訓練を始める前にこのフードの練習のことを知った時は、「目隠しして飛ばせるなんて、なんて無謀なことするんだ」なんて思った無知な私でしたが、結構これが楽しかったんです。計器だけを見ながら飛ぶと心が落ち着くというか、飛行機を所望の姿勢に維持するために必要な操作をじっくり考えることができたので余計な操作をしないのが良かったのか、理由はよくわかりませんが、予想に反して最初からまあまあ良く出来ました。←誰も予想していなかった。

 

<異常飛行姿勢からの回復(Unusual Attitude Recovery)>

また、試験課目の一つに、試験官が飛行機の姿勢を上下左右に動かしていろいろな姿勢を作っている間、訓練生はフードを被りながら待ち、「Recover」と言われたらそのまま水平直線飛行の姿勢に戻すものがあります。これを「異常飛行姿勢からの回復(Unusual Attitude Recovery)」と呼びます。

FAA Instrument Flying Handbook図7-39より

機首が上がって右に旋回している姿勢

 

これまでの私の訓練中の反応からすると、当然、この練習で私は頭の中が混乱し、右を左と、上を下と解釈して焦りまくることが容易に想像されます(笑)。なので、この課目の練習は、早過ぎず(落ち込むから)、遅過ぎず(間に合わなくなるから)始めようと、教官が慎重にタイミングを選んでくれたようです。ありがたいことです。その練習が今日から始まったわけですが、これも予想に反して最初からまあまあ上手くできました。←これも意外!

 

<明日はいよいよ単独飛行で野外飛行に>

この頃の教官からの講評は、「フライトは全体的に正確になってきたけど、まだポロポロと取りこぼしがある」というものでした。自分でも、まだまだ試験に向けて不足分を埋めなければならない部分がたくさんあるとわかっていましたし、口述試験の準備も始めなければならないし、行ったことのない空港での試験になったので、その空港での練習も予定されているし、やることがてんこ盛りでした。でも、そんな状況の中でも、自分の理解度や技量が向上していることを感じていたので、「とにかく今は走り続けよう」という気持ちだけでした。

 

そして、再び、拠点空港での場周経路の単独飛行を2日間連続で行ないました。2日間も教官からのダメ出しを聞かない日は、「セドナの休日」を除いてその時くらいしかなかったので、変な感じでした。

 

そして、明日、初めて一人で野外飛行に出かけます。何も起こらないでくれえ~~~(続く)