1.6(6)新しい長距離野外飛行(Long Cross-Country)~2/2 チャート事件編

<チャート事件勃発>

オレガノ空港が近づいて降下を始めました。その日の朝に調べたオレガノ空港の標高は350フィートなので、これに1,000フィート足した高度1,350フィートが場周経路高度(TPA)のはずです。滑走路に対して場周経路と反対側から進入するので、滑走路の中間地点上空をTPA+500フィート(1850フィート)で直角に横断して、ダウンウィンド・レグ横断後にティアドロップを描きながら1350フィートまで降下を始め、TPA(1350フィート)で再びダウンウィンド・レグの中間地点に会合します。下の図でいうと、左側の図のように場周経路に入っていく予定でした。

FAA Airplane Flyin Handbookより

 

「とりあえず、1850フィートまで降りればいいな」ということで降下しながら空港に近づきました。でも、何となく地上の景色がいつもより大きく迫っている感じでした。

 

教官から「オレガノ空港のTPAは幾つなんですか?」と聞かれたので、「1,350フィートです」と答える私に、再度「本当に1,350フィートですか?」と聞かれました。「はい、そうです」と答えると、「I Have Control」と言われて操縦桿を取られてしまいました。そして教官はパワーを入れて高度を上げ始めました。

 

「飛行場標高はいくつ?」と聞かれたので、もう一度航空図(Chart)を見て確認するとやっぱり350フィートです。そう答えると「それ、標高の印字が剥がれて見えなくなっているんじゃないですか?」と言われて、よ~~く見ると、何度も折り曲げた場所に丁度オレガノ空港の標高が書いてあって、印字の左側部分が消えて白くなっていました・・・

 

ということは・・・ガーン

つまりオレガノ空港の標高は1,350フィートで、TPAは2,350フィートなわけです。私は1,000フィートも低く入ろうとしていたのです。「わあ~~、やってしもた~~~!」

 

操縦室は狭いので、野外飛行の時、その時自分が必要な個所が見やすいように、皆工夫して航空図を何度も折り畳みます。練習ではいろんな風に何度も折り畳むので、印字が擦れて取れてしまったというわけです。だから航空図補足(Chart Supplement)には標高が1,350フィートって書いてあるわけだ・・・←こっちが正しい。叫び

オレガノ空港の表示ではありませんが、こんな感じに「1」の数字が消えてました。

ホント、間が抜けててすみません。

 

それ以後は、大事な情報が書いてある場所を折り畳まないように注意しました。

 

というわけで、イヤーな感じで空港に進入したわけで、周囲を飛ぶパイロットが流暢な英語で一方送信しているのを聞くと、自分の下手な英語が気になるし、進入が高過ぎるとかファイナルに旋回するときにオーバーシュートしてしまったりと、情けない着陸となりました。

 

<オレガノ空港で場周経路を飛ぶ>

着陸後、休む間もなくそのままタッチ・アンド・ゴーで場周経路の練習が始まりました。「ひょえ~~休憩しないんだ~~~」と思う暇もありません。Chart事件で打撃を受けた私は離陸後、左旋回するべきところを右に旋回しようとしてしまいました。「さっき左旋回したのに、どうして右旋回するんですか!」「ダウンウィンド近過ぎますよ!」「またオーバーシュートしてますよ!」とダメ出しが続く中、やっとこさ着陸しました。

 

一度滑走路から離脱して誘導路を進み、駐機場に飛行機を停めるよう言われました。その時、目に入った空港の景色がきれいだったこと!ダメダメの私の心が救われました。山に囲まれた空気のきれいな雄大な空港でした。雄大できれいな景色を見たら、Chart事件のことをすっかり忘れてしまいました。←単純人間過ぎる!

景色と空気がメッチャきれいなオレガノ空港

 

場周経路を1周すると、教官は「じゃあ、私はここで降りますから、一人で1周してきてください。大丈夫ですよね?」と言って飛行機を降りてしまいました。この頃は、場周経路なら一人でも飛べる自信がついていたので、「ヤッホー!1周の間だけ、怒られないで済むぞ~~」って感じでした。へへへ

 

以前、タワー管制のない空港での一方送信が不得意だったので、この日のために場周経路の一方送信をメッチャ練習してきたので、それをきちんとやろうと心に決めて離陸しました。

 

<オレガノ空港からクレソン空港へ>

1人で場周経路1周して帰ってくると、教官が再び同乗し、すぐにクレソン空港に向けて離陸しました。クレソン空港の到着前、近くに別の飛行機がたくさんいて、一方送信が飛び交っていました。こちらも自分の位置を頻繁に知らせなくちゃいけないし、初めての進入経路で景色と航空図を照らし合わせ、高度処理も考えて、しかもクレソン空港は忙しい降り方なのでアタフタしてたら、またオーバーシュートして怒られながら着陸しました。

 

「1つのコンロでフライパンに卵焼きを作りながら、別のコンロでスープを作っていたら噴きこぼれそうになって、蓋を取っている間に卵焼きの焦げた匂いがしてきて裏返そうとしたら小さな子供が泣く」みたいな感じです。

 

クレソン空港では給油を済ませてから少し休憩して、無事にピスタッチオ空港に戻りました。大変な野外飛行ではありましたが、以前のコースより疲労度が全然ちがいます。途中で熱中症になることもなく帰ってくることができました。新しいルートを考案してくださった教官に感謝感謝です。

 

明日以降は、もう一度ピスタッチオ空港で場周経路を単独飛行し、その後、単独飛行の野外飛行に出られるかどうかを決めるセカンド・ステージチェックが待っています。ファースト・ステージチェックでボロボロだった私は、ステージチェックアレルギーというか、ちょっと不安でした。どうなることやら・・・(続く)