高緯さまの側にいる逍遥君は高緯さま曰く「身も心も愛し合っていた」人。
身分の高い人ではあると思うけど、何者かというところまでは劇中では語られていない。

このちょっと謎めいた逍遥君を帆純まひろくん(99期)が演じていたわけですが、まひろくんと言えばかわいい系の役が多く、1作前のメサイアでは瀬戸さん演じる小左衛門さまに仕えている少年(長一郎)を演じていました。この長一郎、怖がりながらも強がってキャンキャン吠える子犬みたいで、小左衛門さまに「だんな〜(>_<)」って泣きつく姿がめちゃめちゃかわいかった記憶があります。

そんなまひろくんが今回の逍遥君ではどこに隠してたの!?ってくらいの色気を身に纏っており、すっかり私の心を捉えてしまいました。
だってあの瀬戸さんを優しく包み込むんですよ!?
高緯さまと共にいる時の逍遥君は、高緯さまの全てを受け止め包み込むような、優しい包容力があってとても素敵でした♡

そんな素敵な逍遥君ですが、心の闇は深そうで、高緯さまへの執着とか独占欲といったものがものすごく強い様子がチラチラと見えるのがまたたまらない感じでした。
最初にそれが見えたのは、寝ぼけた高緯さまが「蘭陵王さま〜♡」と呟いたとき。その言葉を聞いて、自身の胸元をギュッとつかみながら「そんなにもあの男のことを…!」と言ったときの表情は嫉妬に燃える人の顔でした。
この時の目がとってもいい!この言葉と目で逍遥君がどれだけ高緯さまに執着しているのかが伝わってきました。

そのあと、牡丹の花を手にひとり歌う歌がまた良くて…。実際に花はなくて、パントマイム的な動きなんですが、花を折るときとか、花びらを千切るときの手つきがちょっと乱暴というか冷酷な雰囲気で、まひろくんの美しさと相まって怖さが際立っていました。
ナウオンでまひろくん自身も生き物の痛みとかを感じられない人なのかも…と言っていましたが、確かに高緯さま以外の人間・生き物全てをどうでも良いと思っていそうな感じを受けました。
きっと彼にとっては高緯さまが全てで、高緯さまにとっても自分が全てであってほしいと思っていたのかな…。

逍遥君が高緯さまに向ける顔はいつも優しげな笑顔ですが、他の人といる時の彼は笑っていないことが多く、笑っていたとしても作り笑顔な感じで、急にふっと冷たい表情にもどるのがまた堪らなかったです♡

蘭陵王の婚礼の席で、毒殺しようとしたことがバレて、蘭陵王に詰め寄られた時に「あんたが悪いのよ!」と蘭陵王をなじる姿を見て、本当はすごく激しい人なんだなと思いました。なんとなく、自分でもそんな自分自身を持て余してそうな印象も受け…、生きづらそうだなぁ…なんて思ってました。
高緯さまの前では、理想の自分というか、高緯さまが好きな自分でいたかったんだろうなと思ったら、なんだか健気で愛おしくなってきました。

私個人の解釈では、高緯さまの蘭陵王に対する気持ちは恋、というか憧れに近いものじゃないかなと思っています。絶対に手に入らないからこそ焦がれ求める…みたいな感じ。

一方で逍遥君に対しての気持ちは愛だったのではないかと。
自分の全てをさらけ出せる相手であり、ありのままの自分を受け入れてくれる人。逍遥君が高緯さまにどこまで自分を出していたのか分からないですが、高緯さまは逍遥君の全てを受け入れたいと思っていたのではないかと思います。

そこを伝えられていたら、もっと違った結末になったのではないかとか考えてしまいます。もしかしたら、逍遥君はそれでもなお、高緯さまの気持ち全てを自分のものにしたかったのかもしれませんが…。

蘭陵王は作品としてはハッピーエンドで、最後の主役2人の幸せそうな姿は見ていて微笑ましく、心温まるのですが、だからこそ余計に高緯さまと逍遥君の結末が悲しくて切ないです。

2人の並びがあまりにも私の好みどストライクで、麗しかったからこそ、来世の2人にはぜひとも幸せになっていただきたいです!