共の家は35年前千葉県松戸市に住むようになり、そのころから来ていた、いわゆる担ぎ屋のおばさんがいました。野菜が主です。よろよろする程荷物を背負い、昔はそんなだったのかなと思わせる茨城弁丸出しで、断っても鍵のかかった玄関の前で買ってくんろ~と粘ります。根負けして買うことも含め、ちょこちょこ買ってはいましたが、ときに息を殺して居留守を使っちゃうことも。

 長~い時間が過ぎおばさんは、あばあさんになり、ある日上がり框に腰をおろして、話し始めました。おらあ、40歳でおどうに死なれ、10歳の兄いを残されちゃってなあ、しつこかったべなあ、うっとうしかったべなあ、だけど仕方なかったもんなあと。しまった!もっと早く話してくれてたら、知ってたら…と。家内もそのように思ったらしく、もっと買ってあげればよかったわねえと。

 それが最後で、おばさんは来なくなってしまいました。


一大(いちだい)のブログ









買ってくんろ~の声に玄関を開けると、いつもこの柱に重い荷を背負ったままつかまって立っていました。