
それでいいのです。
1986年の「TURBO」。
シンセサイズドギターの導入で話題になったアルバムですが、そんなことよりもポップともいえる曲の導入が「否」の意見を呼んだのでしょう。
それから2年。
彼らが選んだ新作の方向性は「This is Heavy Metal by Judas Priest」。
しかし、もちろん「TURBO」よりはメタリックではあるものの「DEFENDERS~」「SCREAMING~」などに比べると「TURBO」っぽさもたっぷり残っています。
あたしがいちばん気になるのは「TURBO」以降リズムギターの音が変わったな~ということ。
なんというか中音域が太く乾いた音です。リッパー在籍時は違う音ですが、最新作ノストラではまたまたこういう音です。
さらにこのアルバムのポイントは②⑦⑨⑩というような直球の曲タイトル。
前作のあたりでPMRCとかに叩かれていた彼らですから、もう疲れていたという説もあるようですが。
1. Ram It Down
2. Heavy Metal
3. Love Zone
4. Come and Get It
5. Hard as Iron
6. Blood Red Skies
7. I'm a Rocker
8. Johnny B. Goode (Chuck Berry cover)
9. Love You to Death
10. Monsters of Rock
① JUDAS PRIESTというと疾走曲をたくさんやっているイメージもありますが、実は彼らのレパートリーで疾走曲というのはあんまり多くありません。
あらためて聞いてみると「Freewheel Burning」「Painkiller」といった曲もそんなに速くありません。
「Painkiller」はバスドラムが速く聞こえる効果を出してますし「Freewheel~」はリフの工夫があります。そんな中これはけっこう速いほうです。
それよりロブのスクリームで始まるというインパクトの方が大きいかな。
6セクションにもわたる長い掛け合いのギターソロもいいんですが、最近の彼らはこういうギターソロの担当クレジットを入れなくなりました。さらにギターソロの前のパートのロブのすごいこと。
② すごいタイトルの曲ですが、グレンのギターソロから始まるというのもすごいです。
ギターソロが終わるとベースとドラムをバックに歌が入り、ブオ~んと中音域の太いギターリフが入ってくるという展開がクール。その最初のベースとドラムがなんとなく電子的に聞こえるんです。
それにしても歌のメインでなくてもハイトーンでロブがあちこちで叫んでます。あたしにとってはこういうのがプリースト!
③ ドラムから始まりますが、ドラムのエコー処理やほんのり明るい曲調が「TURBO」的に聞こえます。ギターソロも①に比べるとコンパクトながら掛け合いと最後はハモリ。そのハモリもありがちなものではなくちょっとスリリングです。
④ かなり耳に残るオーセンティックなメタルリフをもつ曲。イントロのこのギターの音はなんだか妙です。中音域の太い音でちょっとエッジも立ってるんですが、DEAD ENDの1stのぶわ~に近いものを感じます。歌だけ聞いてると「SCREAMING~」あたりに入っていてもおかしくないHMですが、このギターの音やドラムの音がぜんぜん違うので「SCREAMING~」アルバムとはまったく異質な曲に聞こえます。
⑤ この曲もテンポ的にはアップテンポでしょうが、リフの響きもあって速い曲に聞こえる曲です。
でも出だしとかコード進行、歌メロや随所に入る効果音などがとってもかっこいいです。
効果音はやりすぎという人もいるでしょうけど、おもしろいからいいのです。
A→B→サビときてだんだん明るくなってくる曲調もいいし、明るく壮大なサビ、ギターソロのメロディもいいですね。スケールの大きい終わり方もかっこいい。
⑥ このアルバム一番の長尺曲。
クリーントーンのギターにロブのヴォーカルが乗り、1:44から電気的にも聞こえるビート、中音域がやたら太いギターが入ってきます。そういう意味でこれも「TURBO」っぽい。
その代わりサビを中心にして歌メロはかなりいいです。そのサビも強烈なロブのヴォーカルが圧倒的なインパクトを残します。いまではこういうのはあり得ませんが。
ノストラも考えてみたらこの曲のような曲がたくさん入ってます。もちろん悪くはないのですが、この曲に負けてるところがあるとすれば、やはりそれはヴォーカルでしょう。
⑦ のっけから印象的なコードでリフがスタート。それにしても中音域が太すぎるギターとエコーたっぷりのドラムによって「TURBO」がいかに彼ら自身に影響たっぷりのアルバムだったかが分かります。
歌としてはシンプルな展開ながら、メロディやアレンジが、その曲タイトルから想像できる以上に叙情感たっぷりなのがおもしろい。
⑧ 同名映画のサントラ用に演奏されたカバー曲。それがこのアルバム流の演奏・アレンジでプレイされています。いろんなアルバムの音で演奏されたのを比べてみたいものです。
歌自体はオリジナルに忠実ではありますが、中間のギターソロなどの展開がとってもステキです。
⑨ ドラムから始まり、珍しく低音リフがメインの曲。イントロや後半にムチの音が入ったりするあたりは彼ららしいです。リフがかなり左右に振られ、中央にドラムとベースがどっかり腰をおろしたような音作りがこの曲には効いてます。
後半テンポが上がるんですが、そのあたりからのロブの歌唱はいまでは絶対聞けないタイプのものです。
⑩ 最後は、これまたすごいタイトルの曲。抑えたヴォーカルで歌われるスローな曲。
サビの部分がくり返されるのが長いので、大仰な割には単調な気もしますが中間部には彼らならではの、ちょっと悲しげなパートもあったりします。
Rob Halford: Vocals
Glenn Tipton: Lead & Rhythm Guitar
K.K. Downing: Lead & Rhythm Guitar
Ian Hill: Bass Guitar
Dave Holland: Drums
*メタルゴッド記事~
JUDAS PRIEST 「STAINED CLASS」(1978)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/53123215.html
JUDAS PRIEST 「BRITISH STEEL」(1980)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/51727305.html
JUDAS PRIEST 「POINT OF ENTRY」(1981)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/49476832.html
JUDAS PRIEST 「SCREAMING FOR VENGEANCE」(1982)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/45289697.html
JUDAS PRIEST 「DEFENDERS OF THE FAITH」(1984)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/45267239.html
JUDAS PRIEST 「TURBO」(1986)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/45316574.html
JUDAS PRIEST 「JUGULATOR」(1997)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/52618323.html
JUDAS PRIEST 「Bullet Train」(1998)http://blogs.yahoo.co.jp/fltsts/54398763.html