原題:De uskyldige 訳:罪の無い人々
邦題:イノセンツ
76点。
 
ブロ友さんの高評価に飛びついて鑑賞です♪大人の私にも確かにあった、子どもの頃の不思議な出来事や体験といった記憶はもう、薄れて、霞んでしまっているなんて、センチメンタルな感情を呼び起こさせる、ノルウェー産スーパーナチュラルホラー。
 
 
~あらすじ~
ノルウェー郊外の住宅団地。夏休みに友人同士になった4人の子どもたちが、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。子どもたちは近所の庭や遊び場で新しい力を試すが、やがてその無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こりはじめる。
(※映画ドットコムより抜粋)
 
 
以下、ネタバレ。って言うか、感想。
 
 
□タイトルの意味。
原題、英題、邦題ともに「罪の無い人々」と訳されますが、思春期前の子ども、劇中では、7〜11歳の道徳を学んで行く頃の子どもを指しています。子どもは私たち大人にとり、手放しで可愛いものではあるけど、決して、産まれながらの天使では無い。大人が深く愛情を持って、教えていかないといけないんだよね。
 
 
□原作と映画の大きく違うところ。
・原作は大友克洋著「童夢」
 
 
超能力を悪用するのは老人です。但し、認知症で子ども返りしていると思われます。ただただ、自分の欲に従って、人の命や物を奪う悪しき存在です。劇中の大人たちは堕落や腐敗といった印象を受け、あまり良くは描かれていません。それとは対照的、子どもは超能力を通じて、純粋さや無邪気さを試されるといった内容で、善悪を超えた戦いとなります。語弊があるかも知れませんが、ヒーロー物アクション映画のようなお話です。
 
 
・当映画「イノセンツ」
 
 
子どもの世界で完結しているところ。超能力を持ち、それを悪用するのも、善に使うのも全て子供たちです。先に述べたように、善悪の概念が未熟な子供たちの行動や、決断を描いていて、道徳的な成長や無垢さの喪失がテーマとなります。それは、深く考察を促されるドラマ映画のようなお話となります。欲を言えば、救いが欲しかったけど、北欧ホラーは容赦が無いです…。
 
 
□ベンの身体には痣があるといった描写。
父親の描写が無くて、育児放棄や虐待の可能性が見える。彼には自分の人生を導いてくれる存在が欠けてしまっていることから、彼が周囲の人間を攻撃してしまうことに無理は無くて。ただ、自分が何をしているか解っていないままで、他者を操り、復讐するといった行動は、当の本人もいずれ、苦しむことになってしまうんだろうなと。
 
 
 
~総評~
子役が全員、自然な演技を提供していること。これが想起させるのは、好奇心、実験精神が最高潮になる幼少期から、子供時代の最後に、大人への移行期であるこの時期は、自分の無邪気さや純真さは粉々に砕け散るような可能性が高いということ。
当映画内で起きた出来事は今後、彼女たちにどのような影響を与えるのか。そして、特筆はアンナ。演じた本人は自閉症では無いので、演技ということになるけど、どこまで観察して成り切ったんだろう。…お姉さん、何か心配になるよ。
 
 

ま、大人の世界も案外、楽しいもんさね。

 
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