邦題:スティング 原訳:刺す。スラングでは詐欺をする。騙す。

84点。

 

当映画はどんでん返しとか、騙されるラストと言われていますが、巨悪に一矢報いることを、劇中の詐欺師仲間と一緒になり楽しむ、コンゲーム舞台劇が本当のところ。

だって、目的はルーサーの弔い合戦(ついでにお金)ですから、とどめの一撃はこれで決めなきゃ嘘ですよ。当然の回帰です。

 

因みに、最終第7章のタイトルは「The Sting(最後にぐっさり)」です。翻訳した方、洒落が効いていて素敵ですね。私なら「深い衝撃」とかで。…順当なのです。

 

 

〜あらすじ〜

舞台はシカゴ。詐欺で稼ぐジョニー・フッカーは、親同然の師匠が殺されたことで、その復讐の協力を仰ぐため伝説の賭博師ヘンリー・ゴンドーフのもとを訪ねる。

(※Filmarks映画より抜粋)

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 

 

□1930年代のシカゴにて。

セットや衣装、音楽はもっと古いけど、時代の雰囲気をきっちりと再現しています。失業者が溢れ、女性は性を売り物にせざるを得ない、厳しい時代背景をさらりと描写します。そんな中で、アウトローたちはそれなりに苦労はしつつも、図太く、楽しくやっているようです。

 


□スコット・ジョプリンのラグタイム。

楽譜通りに。決して早く弾くな。「エンターティナー」はクラシック音楽に軽快さを全振りした感じ。一度聞いたら忘れない。



□詐欺と信頼。

詐欺師は人を騙すもの。だけど、人である以上は、根源的に人を信じたいはずです。何せ、詐欺師はどのように信頼を得るかを日常的に思考し、実践し、裏切ってはお金に変えるのですから、本当の意味で孤独でしょう。そんな輩だからこそ、ルーサーの死によって集結し、団結出来たことは奇跡に近いんだけど、納得は出来る。当映画の前に「マッチスティック・メン」を見たからかも知れない。

 

これ、人員選抜の面接のシーンから、警察に噛み付いて鼻を折られた、ある意味根性があるだけの一般人のジョー・エリーを

「ルーサーとは友達だったから」の言葉で採用してる。あぁ、みんなルーサーのことが好きなんだって納得させて来るんだから。不況の時代じゃ無ければ、真っ当な人物だったのかも。足を洗おうとしていたわけだしね。


当映画は上記のように何かに気付いた時、そう言えばあの描写は…って繋がるようにストーリーが組み立てられた、緻密な手品だ。一流のエンターティナーだ。


何度も愛でることが出来る作品と言えます。

 
 

弱点は、登場人物が多過ぎて、洋画慣れしてないと厳しいくらいかな。

 
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