48点。

 
「これはちいさいひと―か。幸色のワンルーム―か。」
 
実際に起きた、…起きている母親の我が子児童虐待死事件を元に、問題提起の側面とホラーテイストを添えたもの。そっちは兎も角、全体を通して優しさはあって、全く見れない映画でも無いと思う。でも、精神が安定している時にご覧下さいね?
 
 
〜あらすじ〜
たった一人でモンスター映画を制作している男・賢治。
ある日、町を彷徨っていた9歳の少女・樹梨杏(じゅりあ)と出会う。
やがて二人は親しくなるが、どうやら少女は学校にも通っていないらしく、さらに、極度の精神疾患を患った母親から虐待を受けていることも判明。
賢治は、思い悩んだ末に監視用の犬型のおもちゃを少女に手渡し、母親から虐げられたときは録画スイッチを入れて撮影するように言い聞かせる。
後日、樹梨杏から受け取った犬のおもちゃには、目を覆うほどの衝撃的な映像が残されていた。(※公式サイトより抜粋)
 
 
以下、ネタバレ。って言うか、感想。
 
 
□(作り物とは言え)深淵を覗くことに、(私は)賢治は耐えられるのか。
コンプライアンスの世の中ですので、描写自体はあらすじほどでもありません。これって、カメラを仕掛けるのは現実的じゃない、違法収集証拠になる可能性が高いし。音声じゃ駄目だったの?犯罪の証拠としての秘密録音なら、法には触れないから。
 
賢治は幼少期に虐待を受けていたことで、彼女に寄り添えたのですね。
「親が子供を捨てて良いなら、子供が親を捨てても問題無いでしょう?」子供がその思考に辿り着くまでには結構な年数がかかる。子供にとって親は世界に等しいから。
 
 
□途中の視覚障害と思しき方との会話にかかる謎の音声エフェクト。
聴き取り辛くて、映画的な意味を感じない。もしや、ミス…?
 
 
□中野(店員)さんの行動自体は良くないけど、気持ちは解る。
横入りする人、たまに居るけど、店員さんが注意してくれないと揉めるから。案の定
「ぶっさいくな顔して、最低な生き方してると、やっぱり顔に出るんだなぁ。」って言われちゃうけど、カメラは発言する本人にアップで寄っていく演出。解り易いけど要らない。こんなところで自己紹介すんなよ(顔に書いてあった)って笑っちゃったり、そもそも相手にしてなかったり、ある意味でどっちもモンスターだ。
 
 
□現在の日本で一個人として出来ること。
それこそ、独立するまでの面倒を見るくらいの覚悟と財力と多少の知恵があれば、何とか出来るけど。それでも、当映画は個人で出来ることはしていて、決して、地域がどうでも良いと思ってるようには描かれてはいません。単純に、子供自身がSOSを発したならば、行政も地域もどこまでもやれるのですが、前述の子供にとっての親は世界にも等しい。ので、周りには言わない。どれだけひどい目にあっても、親を愛すことをやめない。
 
でも、学校に行ってないのは強制介入出来るはず。これは放置していたと取られても仕方が無い。児童相談所の皆様には不幸な子供を一人でも多く、救っていただけたらと切に願わずにはいられません。
 
 
□重要ではないけど、気になったところ。
賢治は個人宅向けの配達員なので、劇中で何度もお届けの描写がある。受け取った方からは総じて、労いの言葉や会釈をいただくのだけど、全員が
「ご苦労さま」だったこと。
どっかの講師みたいに、ビジネスマナー云々を説きたいのでは無いけど、疲れに御を付け、それでも足りずに様を付けることで労いを表現するもの。ご苦労さまも言葉の成り立ちは一緒だけれど、例えば、さまを取ったら?
お疲れ様の方が相手に寄り添えるんだよと私は言いたいのです。
 
冒頭で述べたちいさいひとも一緒で、大人と同様に子供を尊重しようという考え方の発露が言葉に出ている漫画のタイトルです。
 
スリッパが脱げて裏返った時に足で蹴るところ。演技だよね?
これからちゃんと、色々と教えていってあげて欲しかった…。
 
 
□女装癖の男性で小児性愛者の女児誘拐事件。(犬同伴)
駄目だ、勝てっこない。少なくとも、私は弁護してあげられない。100%負けるわ。公選弁護人しかつかないぞ…。→3年9ヶ月、酌量の余地無しでした。
 
 
□ホラーは兎も角。ラスト。
誰も幸せになってないけど、樹梨杏は賢治の側にいたこと。音楽も良いんですよ。
それなのに、こういったテーマは茶化したら駄目!
そういう映画じゃないでしょ! ばかぁ!!