邦題:キャビン

62点。

 

滅多矢鱈、映画評論家の先生方が絶賛するSFコメディホラー。やたら日本を引き合いに出すのは何故なのかを考えるのも楽しみ方の一つと言える。

私は映画評論家という人種が好きになれないよ。ロッテントマト!

 

 

~あらすじ~

デイナら5人の大学生は夏休みに山へと出かけ、そこで古ぼけた山小屋を発見する。

一行は地下で謎の日記を発見。それを読んだことを機にひとり、またひとりと殺されていく。実はこの一連の事件は謎の組織が仕組んだ“定番のシナリオ“通りに進行しており……。

(※映画ナタリーより抜粋)

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 

 

読むのが面倒な方に先に私の結論をお伝えすると、当映画における国際組織は映画の製作会社、「古き神々」は当映画を視聴する、私達の役割を意味するものです。

固定観念に囚われていたりしませんか?ぶっ壊して行きましょう?

 

 

□B級ホラーのお約束を守りたい、守らせたい。国際組織。

犠牲になるのは若い男女グループがド定番。世の中を舐めている感じを醸し出せれば尚の事グッドです。余暇を利用して人里離れた土地へ向かい、途中で怪しい雰囲気のおじさんに忠告されないといけません。

 

 

□何の怪物が出陣するかでトトカルチョ。さ~何方様も、張った、張った!

「大アマゾンの半魚人」とか流石に知らないよ。強力に推している様だし、どっかで見てみますね。

 

 

□ヒロインは一人だけ生き残る担当。だけど、死ぬかどうかは区々。

視聴者の好感を受ける容姿に加えて、応援したくなる様な、真面目な性格じゃないといけません。その点、デイナは合格点の様に見せといて、「処女」がどうとかはどうでも良いのですが、大学の教授と過去に不倫したり、友達を殺そうとしたりするのがいけません。不合格。

 

 

□最初に犠牲になるカップルの存在。

おつむが緩めの金髪女性でビッチお色気担当と、若干、テンション高めの彼氏です。お盛んなタイミングでやられるのが様式美と言えます。

 

ジュールズは医学部志望の優等生、初めて金髪に染めたばかり。組織がヘアカラー剤に認知能力の低下を引き起こす薬物を仕込んでいたのでエッチになっちゃう。

最初の被害者で凄惨な最期を遂げて首ちょんぱ。その首は雑にデイナの前に放り投げられます。「淫婦」は合格、高得点だよ。下の御方は喜んでおられます。

 

カートは見た目通りの脳筋でも無く、デイナに参考になる教科書を選んであげられるくらいには優秀。各々が優秀であるが故に定番の仲間割れには発展せず、驚異に対し的確な判断と指示を出したところ、組織の技によって判断を誤らせられる。

最後は一人バイクに跨り、助けを呼びに行く為に谷を飛び越えようとする。失敗して落下死かと思ったら、見えない壁にぶつかっての落下死。出来の悪いゲームですか?

「戦士」は不合格、最低。下の御方は画面にポップコーンを投げ付けているよ。

 

 

□実は生きていたマーティ。

大麻常習者で如何にも「愚者」の役割を与えられそうだけど、実は当映画の突っ込み役で視聴者と同じ目線の常識人。彼の台詞は最早、ネタバレの域だったりします。

因みに、新人の黒人警備員はスケープゴートです。

 

 

□組織が不謹慎である理由。

ホラー映画制作現場の裏側は和気藹々で楽しそうなのが "あるある" だったりします。

アレです。ジャンルが違うけど、ジャッキー映画のエンドロールみたいなもの。

犠牲者に祈りを捧げる描写はそれを逆から補完するものです。そっちは…ホラー映画の撮影に入る前のお祓いみたいなものですかね。

 

 

□ちゃちなCGのラストシーンの意味。

受け取り方によりますが「何この映画つまんない。さっさとディスク返して来よう」です。当然、エンドロール中には何もありませんので、あそこが視聴者が見る映画の終わりのシーンです。毎年生贄を捧げているようですが、私のペースは月に20本程。生贄をもっと沢山持って来てくれなきゃ。

 

B級ホラー映画の皮を敢えて、気付いて貰える様に雑に被った、映画とその制作の裏側のゴタゴタ劇に加えて、視聴者を巻き込んだ体の映画でした。がオチです。

 

 

□未怜さんのロッテントマト。

2011年ハリウッド制作のホラー映画で製作費は3000万ドル。低予算に分類されるとは言え、ホラー映画の費用としては非常に高額な部類に入り、このクラスの割にVFXのちゃちさが否めず。これは敢えてそこに低予算を割り振って、別のテーマに重きを置いたと考えられる。

 

時は同じ頃、日本にてなろう系と呼ぶライトノベル文化が急成長。異世界転生もの等一般人だからこその自由な発想が定着していく。

当映画は公開当時でこそ新鮮なものだったのかもしれないが、今となっては目新しいものではない。そして、その枠組みは超えていないと考える。時代を越えて愛される映画になるとは考えにくい。

 

映画がビジネスである事は重々承知してはいるがやはり、ハリウッド。王道でも異色作でも全てに拘った映画を見せて欲しいものである。

 

 

きもっ。解ったふうな批評ってやっぱり、可愛くないです。

 
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