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原題:Tulitikkutehtaan tyttö

邦題:マッチ工場の少女

59点。

 

邦題は原題を訳したそのままです。現在では世界一幸福な国と言われるフィンランドで作られた映画ですが、1990年代前半は経済危機真っ只中でした。自殺率もその頃がピーク。アキ・カウリスマキのプロレタリアート三部作の最終作です。

 

 

~あらすじ~

フィンランドの田舎町。マッチ工場で働いて稼いだ僅かな金で母と義父を養う少女イリス。ある日彼女は、もらったばかりの給料で自分のドレスを買ってしまう。怒った義父は彼女を殴り、母はドレスの返品を命じる。とうとう我慢できなくなった彼女は、家を飛び出してディスコへ向かい、そこで出会った男性と一夜をともにする。しかし彼女は彼にも裏切られ……。

(※映画ドットコムより抜粋)

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 

 

□マッチ工場の…少女?

フィンランドの成人年齢は18歳です。飲酒も喫煙も成人になってからで、アルコールの度数によっては20歳以上の条件が付きます。劇中で年齢は語られませんが、イリスは飲酒も喫煙も嗜んでいますし、マッチ工場での勤務も実に長そうです。実際の女優さんの年齢は当時29歳。これは、大人になってないという、実に嫌味なタイトルだと思います。

 

 

□じゃあ、イリスが悪いの?

そりゃ、人を殺してしまえば問答無用。でも、特筆は母親だと考えます。娘の収入を当てにして生活している家族ですから、当然、イリスが居なくなれば生活出来ない…と簡単に言いたいところですが、フィンランドは社会保障制度が手厚いので最低限、食べて行くのは困らないかも。なので、どうしようもないクズの義父に付き従う母親を見捨てられなかったのが本命です。本当は出て行きたいけども、出て行くわけにもいかない、家族が不幸なのに、自分だけ幸せになる訳にはいかない。というジレンマに陥っていて、有り体に言えば、自分から不幸を背負って行くスタイルです。

不幸だねー不幸だねー。

 

 

□兄とイリスの微妙な関係?

前述の通り経済危機下であり、兄も決して生活が楽ではありません。パンとトマトで物語ります。兄は義父の存在を許せずに家を出た様ですが、イリスは家族から逃げた兄を良く思っていません。フィンランドでは家族で過ごす事が一番の幸せというお国柄。そもそも、家族ってどこまでなんでしょう。新しい父とか、新しい母とか。親は子供を無条件に愛さなければいけないけど、子供は親を愛さなくても良い。と考える私からすると、結構な地獄に見えます。当映画についてはどっちも出来ていません。

 

 

□アールネは真に不誠実なの?

女の立場から言うのも変なのですが、イリスは誘ってオーラ出してましたよね。遊ばれたなら絞め殺しても良いけど本当に不誠実な人だとしたら、はっきり、遊びだったとか言わないでしょうし、あんな重い手紙は見なかった事にするのでは。会社に乗り込んでくるくらいだから怖かったのかもしれないけど。最低限、大人の対応をしようとした訳なので、クズだけど、死んで当然とは言えない。

 

 

□他人が注いだ怪しい液体を飲む男性?

普通、良く知らない人がバックの中から出した怪しげな液体なんか飲まないじゃないですか。これは、性善説が基本のフィンランドでは、恐怖のシーンと思われます。

 

 

□総括。

他人に頼ってはいけないと言うか、仮に彼氏が出来ても、母親と同じ事になりそう。正直、冷たい感想かもしれませんが、不幸に酔ってるこういう人居るわ。でした。

なので、私からこの歌をお送りしまして、本日はお別れの時間です。

 

 

 

 

さよなら、さよなら、さよなら!

 
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