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邦題:不思議惑星キン・ザ・ザ

85点。

 

邦題がちょっとズレてて、主な舞台は、キン・ザ・ザ星雲の惑星プリュク。135分の長尺を短いとまで思わせる、ゆるゆるSFディストピアハートフルコメディ。

 

 

~あらすじ~

モスクワの街なかで謎めいた男と出会った建築技師マシコフと学生ゲデバンが、男が持っていた奇妙な装置のせいで広大な砂漠にスリップしてしまう。そこはキン・ザ・ザ星雲の惑星ブリュクだった。やがてマシコフらは、この星のおかしな風習に翻弄されるはめに。

(※映画ナタリーより抜粋)

 

 

「郷に入っては郷に従え」

・パッツ人(パッツァーク)…元はウクライナ語でロシア人を卑下するカツァップ(ヤギひげ野郎)を逆から読んだもの。パツァンは現在、ロシアの俗語で強者の意。

・チャトル人(チャトラニアン)…アルメニア、グルジア語の悪口で悪党の意。

   ※パッツ人とチャトル人は見分けがつかず、識別機が緑に光れば前者。橙が後者。

   チャトル人はパッツ人を一方的に搾取する。

 

・エツィロップ…権力者。英語のPoliceを逆から読んだもの。資本主義は目前に迫っていた。

 

要するに、当映画は全体をユルさで装って、意図的にソビエト連邦の体制を批判する側面があったが、崩壊前の末期で検閲もユルかったのかもしれない。とは言え当時に公開出来たのは奇跡に近い、ロシア人への挨拶はクー!で通じちゃう、そんな究極のカルト映画。ママ、どうしよう、ヤバい映画見ちゃったよ!

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 

 

ご都合主義なところもこのゆるさで許せてしまうのはズルくて良い。

 

テクノロジーの原理等の一切合切に説明は無いし「ザ・フライ」で一生懸命書いた事なんて、穴を掘って中で引き篭もりたいレベル。そもそも、超高度文明なんて理解が出来ないのが正解です。そして、欲望の赴くままに海を燃料に変えていった結果、人々が豊かにならないのは逆に、想像がついてとても良い。

 

当時、ソ連で一番安く手に入ったマッチ(カツェ)が、プリュクでは最高級品として描かれるのも、皮肉が効いていて素敵です。

 

 

 

 

でも、書き方が悪いかもしれませんが、鬱屈としていた(今でもそう)当時の大衆にとり、風刺の受けが良いから差し込んだだけで、この映画の本質はまんま表だと思います。これは、

 

「初対面の二人が、宇宙人に、出会った〜。」

から始まる、プリュクうるるん滞在記なのです。

 

きっと、鑑賞後には見知らぬ他人ともコミュニケーションを取りたくなるでしょう。

 

 

(両手で両ほっぺを二回叩いて足を肩幅のまま腕と足を開いて)クー!

 
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