邦題:キャリー

82点

 

未鑑賞な事に驚いたのと同時に鑑賞後は感動すら覚えたスーパーナチュラルホラー。

若き日のジョン・トラボルタ、ウィリアム・カットとかが出演しますが、彼ら男性陣はホラーにとっての重要な役割を担いません。あくまで脇役です。

主役はシシー・スペイセク、パイパー・ローリーといった女性陣であり、それはもう身震いする程の怪演を見せます。

プロットはホラー版のシンデレラと思わせるくらい簡潔で、キャラクターもあらゆる立場を描くのに、共感出来そうで出来ず、理解出来そうで出来ないから怖い。を体現します。じわじわした恐怖からの振り幅がとんでもなく、悪夢の様なラストシーンに繋げて、人によっては二度と観たくない映画になるかもしれませんが、傑作です。

そして、この映画は多人数ではなく、一人で観る事をお薦めします。

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、人物紹介。

 

 

信仰に狂うと言う言葉がしっくり来る、キャリーの母親マーガレット。原作の小説ではそうなった背景が語られていますが「灼熱の魂」でも書いた様に子供にまで負わせるべきじゃないですよね。

 

キャリー、サイコキネシスの超能力持ち(原作ではテレパスも)。前述の母親に育てられ、自身も敬虔なクリスチャンで無垢な少女(シシー・スペイセク、当時27歳)と言えば聞こえは良いものの、歳相応の経験や教育を受けていないとも言える。

初潮を迎えた事から始まった自我の目覚めを描いたのは解るけど、そんなんテーマにするスティーブン・キングがキモい。

 

 

↑奴は猫好きらしい。

 

体育教師のコリンズ先生。キャリーの数少ない味方ですが、例えるならば戦場で後方から銃を撃つ人。心中はプロムでキャリーが傷付くと決めつけて(事実だけど)彼女の事を解っているつもりの大人。原作では一瞬、キャリーを笑ってしまった。

偽善者その一。

 

スー、実はシャワー事件でキャリーを虐めた事を反省していた、味方になったつもりのトップ・オブ・リア充の女子高生。自身の彼氏であるトミーに頼んで、キャリーをプロムナードへ向かわせる事で、彼女が周囲と打ち解けられる様に段取りした。

偽善者その二。(但し、彼女は子供なので情状酌量の余地はある。)

この行動が善意からである事は、キング&クイーン賞に選ばれたキャリーとトミーがひな壇に上がった際に心から祝福している彼女の表情から読み取れるけども、こんな憐れんだ施しの様な事は彼氏であるトミーには勿論、最も残酷な仕打ちだと言える。

悪意の無い善意は余計に質が悪いもの。

 

トミー、トップ・オブ・リア充の男子高生。彼女のスーに頼まれたとは言え、高校の最大の思い出となるプロムに好きでもない人と行けちゃう。

偽善者その三。(只の助平かも知れない。)

キャリーとのダンスシーンでカメラが二人の周囲をぐるぐる回るけど(酔う。)

「プロムの魔法」をこんな視覚で表現するとは。私は参加した事無いけど、プロムでカップルになったってお話良くあるじゃん?トミー、本気になってませんか。

バケツで正気に…戻る事は無かった。

 

クリス、シャワー事件でコリンズ先生に叱られた事でキャリーを逆恨みし、プロムでキャリーをひな壇に上がらせて幸せの絶頂のタイミングを見計らい、頭から豚の血をぶっ掛けて台無しにするというぶっ飛んだ考えの虐めっ子リーダー格。

子供とは言え、許される範囲を軽々と超えてしまう。

 

ビリージョン・トラボルタ、クリスの子分。彼氏の癖にクリスを窘めるどころか増長させた。

 

 

確かに、主要キャラだけで波乱を起こしそうです。