邦題:フェイス/オフ 原題:顔を剥がす、対決

84点。

 

アメリカを代表する名優のダブル主演なんて殆ど奇跡の様なもの。

主役と、互いの役と、自己を保ったまま相手を演じる演技力が必須な、俳優泣かせで荒唐無稽とも言えるプロットを、愛と平和のテーマを織り込んでからの、監督お得意のアクションをこれでもかと詰め込みつつ、圧倒的なパワー(お金)で139分という長尺を魅せるSFアクションスリラー。

タイトル通りにグロ描写がありますが、ちらちら映す親切設計。余計に気になる!

いやー映画って本っ当に素晴らしいもんですね。

 

 

以下、ネタバレ。顔はともかく、中の人の名前で表記。

 

 

現実世界における他人の顔の完全移植手術は2012年に成功していますので、強ち荒唐無稽とも言えなくなって来た現在です。

 

スタントシーンは明らかに配役に寄せてなくてちょっと笑ってしまいますが、圧倒的なパワー(お金)に黙るしかありませんでした。

 

プロットは自動的にダブルミーニングの側面を持ちます。そもそもタイトルからしてそうです。例えば、アーチャーはトロイの内縁の妻であるサーシャを、半ば脅す様な取り調べをしています。爆弾の存在があり止めるのが先決であるから、テロリストの身内に人権なんて。となるのですが、いざ、潜入すると、彼女もまた子を持つ普通の母親でした。アーチャーが二人に謝るシーンが物語ります。当たり前ですが、アウトローだとしても守るものがある、普通の人間なんだと気付かされるのです。

 

そして、アダムを怖がらせない様にヘッドホンをさせ「虹の彼方に」をバックに流す映像との対比がとんでもなく刺さるんです。

 

 

 

 

そういった背景を丁寧に描いたからこそ 、鏡を挟むメキシカン・スタンドオフや教会の鳩が映えるのですね。これは軽さを感じないです。

教会でアーチャーは何を祈ったのかは解りません。ですが、トロイは死に、サーシャはアーチャーを身を挺して守り命を落とし、アダムを家族に迎えるエンドに繋ぐ。

凄い綺麗なプロットです。嫌味もありません。

 

男女問わずお薦め出来る良作だと思います。もしかしたら、女性の方がハマるかも。