邦題:ネオン・デーモン

66点。

 

カンヌ映画祭で途中退席者が続出、賛否両論の物議を醸したサイコロジカルホラー。

アルマーニ、サンローラン、マリナ・ホーマンセダーが衣装協力。

70’s、80’s風のシンセをバックに赤と青を基調としたシンメトリー等の緻密な計算による構図。エル・ファニングの透明感に加えて、女優陣の一流の表情の演技に完璧なそのスタイル。どこをどう切り取っても圧倒的な映像美。本当だよ!

キアヌを端役で使い、シーアに主題歌を歌わせ、製作費は $7,000,000、興行収入は半分にも届かないとか、もうね、流石です。

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 

 

1:05:10 ~ 1:09:53 の5分弱のやり取りが言いたい事かなと思います。

 

ディーンはこの映画における一般人代表です。

本来、彼もプロのカメラマンを目指す者として、一流のデザイナーとお近付きになりたかったと思われます。ジェシーも恩返しのつもりで連れて来たのでしょうが、人は外見が全てと言い張るデザイナーの意見に真っ向から対立します。

そして、確かに人は人を外見から判断してしまう事を突き付けられてしまい途中退席します。モーテル前でジェシーを待ち二言三言言葉を交わしますが、それっきり彼はもうこの映画に戻って来ません。

 

ここで(仮にカンヌ映画祭であれば)途中退席出来る人間になれたらと思いました。

 

この映画自体に中身があるようで無いように思います。(この映画における)モデルも同様で、入れ子構造になっています。それが本映画の凄い所です。

中身があるように見せかける為にいくらかのタブーを加えたプロットを、目が飛び出る程の高級で美しい風呂敷を拵えてお届けしたら、観客はどういう裁定になるのかを社会実験をされたみたいな。

 

結果は先に述べたように興行収入も半分に届かず、一般の評価も微妙なとこです。

 

つまり、映画も人間も、外見だけじゃ駄目なのですよね。