image

 

邦題:クワイエット・フォレスト
原訳:闇黒
50点。
 
メキシコとフランス合作のホラースリラー。
これをどう観るかでその人となりが解っちゃうアーティスティックな心理テスト映画(ちょっと嘘)。因みに私はほのぼの家族映画として観ていました。よーしパパ頑張っちゃうぞーみたいな。
音楽も映像もとっても丁寧に作り込まれています。後半の暗さはわざとですね。
俳優陣も選びに選び抜いたんでしょうね。
それなのに Filmarks で1.7/5評価ですって。低っ。言って私も50点か。むぅ。
 
 
以下、ネタバレ。って言うか、私見。
 
 
酷評する映画かと言えばそんな事はありません!
テーマもハッキリしていますし、新進気鋭の監督が大真面目に作った意欲作です。
但し、皆さんの感想を見る限りでは、この映画は狙いの半分も成功していません。
つまり、失敗だと言えます。それは何故か、私見を述べさせていただきます。
 
 
①邦題、キャッチコピー詐欺の被害が大きい。

クワイエット・プレイス」が2018年。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」が2017年で両タイトルの1年前に当映画が公開されたのに、配給会社が便乗商法に走って観客に意図を曲解させた。

 

これが割合の大きい理由で、ホラースリラーのホラー部分が限定されてしまい、それが描写されない事での不評です。ホラーは人を怖がらせてなんぼなのに

「怖かった!」って感想が皆無では、低評価になっても仕方ありません。

 

 

②引用元が深いのに、表面だけを捉えたテーマ。

冒頭の一節は英国の詩人であるバイロン卿が1816年に発表した
「Darkness(闇黒)」です。これは詩の意味合いを汲み取るより、時代背景から考えた方が近道です。
 
1816年は北ヨーロッパ、アメリカ北東部、カナダ東部を襲った所謂、冷夏で
「夏のない年」でした。広範囲の猛吹雪による多数の死者、農作物が壊滅して穀物類の急騰を招き、飢餓や伝染病が蔓延、食料をめぐっての暴動、略奪が行われ、ヨーロッパ全体で20万人の死者が出たと言われています。
今でこそ、太陽活動の低下、及び前年までの数年間、大火山の噴火が続いた事と理由付けられていますが、当時の人は何も解らず、デマが飛び交い、世紀末の様相だったと思われます。
 
つまり、この映画のテーマは
「何がどうなっているか解らないが、とんでもなく恐ろしい何かが起きていて、命の危険を感じる。」です。恐ろしいものの片鱗を味わったぜと言わせたいんですよ。
 
 
上記テーマに沿うと、ありとあらゆる恐怖の形が必要になりました。ですので、配役に解り易く癖をつけて、深い森の中の部屋に鍵がかかる小屋と言った閉鎖的な空間を用意し、奇妙な小道具を散りばめ、兄の失踪?で切っ掛けを作って、どうとでも捉えれるようなプロットに狙って仕上げたのがこの映画の真相です。ようは頭の中で映画ツクールです。
 
そう言った意味では解釈を観客にぶん投げているのは違わなくて、低評価になっても仕方ありません。むぅ。