64点。
公開当時、映画館デートのカップルを何組も破局させたと思えちゃうサイコロジカルスリラー。それで別れるならそんなものです。
音響、完璧。監督は若干、癖がある映画作りが特徴のカリスマ的人気を誇るあの人。
私的調べでエンディングはバッド6割、ハッピー3割、どうでも良いどちらでも無いが1割となっています。
脚本は原作小説の作者で、女性です。
以下、ネタバレ。って言うか、感想。
残念だった点は、映画が始まって1時間少々、妻、エイミー側のパート。ふと、脚本が同性っぽいと思ったのが切っ掛けで、そのままオチが読めてしまいました。
双子の妹のマーゴットが(同じ女だから)厄介かもしれないけど、最後はただ泣くだけの小娘だった。依頼料10万ドルの超エリート弁護士が相手だろうが、何かの証拠が見つかろうが、多少の強引さで辻褄の合わなさをフル無視して元の鞘へ収める。
「夫をまるで猿回しの猿のように意のままに操る妻」
「妻のことを警官のように忌み嫌い避ける夫」
エイミーが言うところの最悪の夫婦になるのねと。何が問題なのか、さっぱり解りませんが。後はそこに至るまで、どれくらい説得力があるかがポイントかなって。
でもまさかそんな、149分みっちり使って夫婦喧嘩のお話とか、犬も食わんでしょ。
こんなの赤の他人が首突っ込んだ日にゃろくな事になんないやつじゃん。
→そう、全く以てそうでした。
因みに一番の見所はグレタの飲み物にエイミーがツバを入れて、グレタがそれを飲んじゃうシーンです。何か味ヘン?な表情も良いです。
さて、周りに飛び火するような事を仕出かす夫婦って確かに在るんですよね。これ、やり過ぎるし、お国柄も違うので共感出来ない部分はあるにしても、登場人物が軒並みんな人間臭くて良いんですよ。あるあるネタをこれでもかと挿し込んで来るので、誰かには共感出来るようになっていますし、そうして説得力を持たせて、辻褄をじりじり合わせてきます。
この映画の最大の被害者、デジーは不憫ですね。
何だ結局、ニックを心底愛してもうてるやん。嫌いなところは顎だけか。
何せ彼を嵌める為に自死を厭わないくらいだもんね。夫の為?自分の為?夫婦に戻る為なら困難であろうがやるでしょう。
わざわざ、それを描く為だけにデジーは犠牲になり、凄惨さを際立たせて画面を鮮血に染める。あかんやろ。褒めてます。
良い大人が4人集まって対策会議と言う名の総括シーン。わざわざこれを入れて来るのが皮肉が効いていてセンスを感じます。
超エリート弁護士に10万ドル払ったのに「彼女を怒らすな」が最終結論ですし、警察も捜査が終わって手が出ません。世論は完全にエイミーの味方です。つくづく、一枚上手でした。いやー怖い奥さんだね!くわばらくわばら。
もう一つセンスを感じるシーンが、キャスターのエレンとニックの仲直りのシーン。
これを可愛いと思ってしまうのが女の罪なのか。
加えて、騒ぎが収まるまではと慎重に動いていたつもりのニックも結局、エイミーの最後の罠にかかりました。ふふっ、男の人は慎重さが足りませんね。
個人的には最後マーゴットを泣かすだけでは無く、めっちゃ口悪く罵るぐらい怒って欲しかったです。怒って、泣く。こっちのが良い。
成程、これはカップル、喧嘩になるね。
他の映画ならもっと悲惨な事になってるわ。ニック、君は運が良い。