雪風 YUKIKAZE
監督:山田敏久
感想
雪風…という響きには心良いものがある。
それは一部には名作「戦闘妖精雪風」のこともある。これはその名の由来となった駆逐艦の物語(その話自体僕は好きだし)…だから、一報を聞いたときは楽しみにしていたのだけれど、予告とかなんとかを見る内にその期待はしぼんでいった。
なんか、いつものアレっぽいな…邦画特有の湿りっ気たっぷりのお涙頂戴映画で。あの時代にそぐわない人道主義の主人公が反戦を押し出してくる。嫌いなんだよね。クレジットを見てみれば、脚本は「真夏のオリオン」(サイテーの映画だった)をはじめ数々の愚作を手掛けた長谷川康夫。はぁ~あ。「メッセージ」とかマジいらないから。それ脚本家の思想でしかないから。雪風にかこつけんな。
とは言え、見には行ってみる。
覚悟をして見に行ったせいか、登場人物たちの思想はそこまでは気にならなかった。玉木宏の役も「真夏のオリオン」のキャラクターよりは百倍マシ。まあ、「駆逐艦はレスキュー船じゃねえぞ」とかは思ったりもしたけれど(もちろん実際にそういう役割を果たしたこともあるけれど、あくまで駆逐艦なわけで)
CGもまあ良くはない。いまだに物体(船舶とか)と風景の合成に違和感があるのもそうだし、海の描写自体もよくない。セットの場面もいかにも「セットだなあ」って感じ。風を感じない。好きだったのは、最後江田島の上空でドローンを飛ばしていた辺りの場面だけかな。
1964年の映画『駆逐艦雪風』を見たあとだけになおさらね。あれは戦後に造られた「護衛艦ゆきかぜ」がロケに使われていて、もうあからさまに護衛艦だから艦の造りとか全然違うんだけど、それを分かってみればなかなか風情がよかった。やっぱり水しぶきの感じとか、海面に光が反射する感じとか、海上がガスってる感じとか、本物だから空気感が全然違うわけよ(一部特撮もあるけれど、良かったのはむしろ実艦を使った日常場面の景色)。「画」としてはあっちの方が全然好きだね。
↓1964年の映画『駆逐艦雪風』
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今作(雪風 YUKIKAZE)において、それ以上に感じたのは演出と脚本の力不足。やたら説明ゼリフが多くて、テンポも悪いし。なーにをやってんだか。毎回決まって雪風が停泊するエスタブリッシュショットが数秒入るのだけれど、あんな説明ゼリフ入れるくらいなら、その代わりにあのエスタブリッシュショットにカメラワークを入れて時間を倍にしてもよかったよ。まあいいや。そんなできの良いショットでもなかったし。
脚本もとっ散らかってて、最後の有村架純の場面なんてまったく意味不明。いや、誰が何をやっている場面なのかはわかるのだけれど、存在する意味がまったく不明。あんな場面に有村架純を無駄遣いするくらいなら、その予算を使って脚本をブラッシュアップする人を雇ってください。あと、ビジュアル全体を統括する人(CGだけではなくて全体)。
CGでハリウッド映画に勝てないのは仕方ない。予算がないんだから。でも演出とか脚本とか、予算以外のところでいまだにこのレベルなのは邦画の闇を感じる。
結局、アメリカに勝てないやん。いまだに。
☆☆☆★(3.5)
【90秒予告】映画『雪風 YUKIKAZE』 8月15日(金)全国公開!!