リライト
監督:松居大悟
感想
理科室のラベンダーの香り。タイムリープものだというのは知っていたけれど、思っていた100倍「時かけ」だった。それも大林版の「時かけ」だ。物語は明らかにそれをオマージュしているし、映画自体にもそうした目配せが随所にあった。
もはや見慣れたような尾道の坂、遠くに眺める瀬戸内海。変にクローズアップにせず、眺める景色(遠景)として瀬戸内海を取り入れるのは分かっている感じがした。そして、あの嘘くさいオレンジの光。これも意図的に自然光にせずに人工的に入れているのかなと。その辺りも大林映画っぽかったな。
さらには尾美としのりさん。おなじみ大林映画の顔だ。石田ひかりさんのところは理想的には原田知世さんだったと思うけれど、石田さんも(主演をした『ふたり』をはじめとして)大林映画のイメージが強い人だ。「もうこれ大林映画やん」と。
ただ、少し難しいところは感じた。「時かけ」の原田さんとか、『転校生』の尾美さんとか、『さびしんぼう』の富田靖子さんとか、実際に高校生年代で高校生の役を演じている。その年代でしか出せないものが、確実に画面の中に映っていた。青春とか瑞々しさという言葉では少し明る過ぎるのだけれど、もはや失われてしまったもの(自分が失ってしまったもの)がそこにあるというような、心がギュッとするような「あの感じ」。
池田エライザさんも橋本愛さん(「桐島」では実際「あの感じ」があった)も魅力のある女優さんだし、他のクラスメイトたちもみんな個性が立っていて良かったと思うけれど、高校生を演じるのは違和感があるというか。違和感があるという言葉は少し違うな。設定的に2つの時間軸でやる必要があって、より年齢層が上の人をキャスティングしたのは分かるのだけれど、尾道三部作の「あの感じ」、決定的に重要な「あの感じ」は受けなかった。
明確に大林映画をオマージュしているから、逆にその辺の違いが気になってしまったなという感じ。「その辺の問題(2つの時間軸と役者の年齢の問題)はアニメだったらクリアできるのかもなあ」とか思いながら見ていた。
物語的には「時かけ」をベースにしつつ、予想の斜め上をいくというか。序盤のミステリー要素から、中盤辺りはコントみたいに感じて(これもうコントやん)、最終的にはエモい感じで着地させていた。最後は新海さんっぽさも少し感じたかな。見ていて飽きなかったね。序盤は多少かったるく感じるところもあったけれど、物語の仕掛けが分かってからはあっという間だったと思う。
そうね、純粋な青春映画というよりは物語の仕掛けを楽しむ映画だと思う。面白かった…です。パンフも買いました。
☆☆☆☆☆(5.0)
映画『リライト』本予告 | 2025年6月13日(金)公開