『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
監督:古賀豪
感想
冒頭からスリルとサスペンスという感じで引き込まれる。とくに「これは…ちょっと良いんじゃないか…」と思わせた演出が序盤にある。主人公がある少女の鼻緒を修理する場面。片足じゃ辛いだろうから、私の膝に足を乗せてと言われた少女が、おそるおそるその膝に足を乗せる。数秒、時が止まる。ただトンビの声と風の音だけが流れる。でも、何かすごく伝わってくるものがある。
そこからはもう映画の世界の中に没入していった。山奥の孤立した村という舞台構えは横溝正史的でもあるんだけれど、アップデートされている印象もあって、『ガンニバル』とか『サマータイムレンダ』、あるいは『鬼滅の刃』辺りの雰囲気も漂わせている。キャラクターデザインもかなり現代寄りの感じ。ただ、そうした現代的要素に呑み込まれていないのがいい。クラシックな薫りを失っていない。
終盤はちとチープに見えてしまったところもある。結局、悪に形を与えてしまうとチープに見えてしまうというか。むしろ、抽象的な存在のまま展開した方がよかったような気もした。文句をつけるとしたらそれくらい。
全体的にフラグを立てすぎてる感もあるけれど、それはむしろ、この作品全体に漂う哀しげなムードの形成に貢献している。感情の流れとかオチの付け方も感情に流され過ぎず、どこか品がある(「ここで泣け!」って言ってこない映画)。物語構成もとてもまとまりが良い。
これ、よく作ったなあ。
☆☆☆☆☆(5.0)
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ファイナル予告