レジェンド&バタフライ
監督:大友啓史
感想
史実が面白いとは限らないという考えを見かける。僕はそうは思わない。ひとりひとりの人間が必死で考え、生きた証が歴史だ。たかだかひとりが頭の中で考えた物語より面白くないわけがない。面白いと思えないのは、歴史を知らないかあるいは知る術がないからに過ぎない。
もちろん、虚構であっても面白いと思える作品はある。でもこれはその域にも達してない。古沢さんは『キサラギ』は面白かったし、『リーガルハイ』も好きだった。でも、歴史に対する感覚は全然ないんだなという印象。現代的感覚で描かれた「帰蝶」が、実は信長の知恵袋だったというカビの生えたような設定。
それに、死ぬほど嘘くさい。彼女は、実家と嫁ぎ先が争い、後ろ盾を無くし、子供もおらず、いつ死んだかも、実際はなんという名前だったかも分かっていない人物だ。歴史の渦に呑まれたそういうひとりの女性の人生にだったら僕は興味がある。でも、こんなウソにまみれたヒロインに興味はない。これだったら立花誾千代とかでやった方が百倍まし。
『新解釈・三國志』の福田雄一もそうだけれど、実際のことは分からないから何やってもOKみたいな浅はかな考えが透けて見える。そこに説得力とか、さもなければ嘘っぽさを上回る魅力がなければただの駄作に過ぎない(たとえば『キングダム』は嘘っぽいけれど、少なくとも序盤は魅力的だ)。
信長ものなんかいくらでもあるわけで、小説でも漫画でももっと刺激的なものはいくらでもある。この程度の脚本に20億も賭けるという浅はかさに邦画の限界を感じる。「古沢良太」という名前ではなく、脚本の中身に20億賭けるべきなんだ。
キャスティングもいまさらキムタクに綾瀬はるかで信長‐帰蝶って。この映画を企画したプロデューサー、調べてみたら『大怪獣のあとしまつ』(2022)も企画してる。これだけ大爆死映画を連発してよく・・・まあ良いや。どこもかしこもカビ臭い映画。窓を開けろ!風を通せ!
2023年の作品。アマゾンプライムで視聴。
☆☆★(2.5)
映画『レジェンド&バタフライ』本予告【2023年1月27日(金)公開】