今思うこと
あれから考えていること。
「ベスト8の壁」とか「まだ国として実力不足」とか、そういう類の考えをよく見かける。僕はどうもそれは違うんじゃないかと思うようになった。
大まかに言って、W杯の勝敗には3つの要素が関わる。①ひとつはその国の実力。育成とか環境、どれだけの選手を抱えているか。②もうひとつはチーム作り。どんな選手を選び、どうシステムや戦術を構築し、大会全体をプランニングしていくか。③最後はその試合の戦い方。どう準備を整え、どうプレーし、どう選手交代するかなど。
もちろん、実力があれば勝てる確率が上がるのは確か。日本がブラジルじゃないのも確か。でも、それだけで全てが決まるわけじゃない。今回、イタリアは予選敗退、ドイツはグループステージ敗退、スペインは一回戦敗退だったけれど、彼らに実力がなかったかと言えばもちろんそんなことはない。
そして、日本にベスト8になれるだけの実力がないか、と言えばそれもそうじゃないと思う。実力で言えば、今や日本は欧州の強豪で主軸を担う選手を多く抱える国になっている。たとえば今回ベスト8に入ったモロッコと比べても遜色はない選手が揃ってる。それは日本サッカー界全体の努力の賜物だし、賞賛されていい。
ただ、それ以前に、これまで決勝トーナメント1回戦で敗れた4大会を見ても、実力で完敗した試合ってのはひとつもなかった。トルシエがトチ○って一回も試したことのない先発で機能不全に陥ったトルコ戦(2002)、グループステージからずっと同じメンバーで戦って活力に欠けたパラグアイ戦(2010)。それでもPK戦にまでもつれこんだ。
そして、二点先制しながらその後のプランを立てていなくて逆転負けを喫したベルギー戦(2018)、同じく先制しながら後半緩く入って同点に持ち込まれたクロアチア戦(2022)。
どれひとつとして完敗した試合はない。それどころか、二分けしてるし、ここ二試合は先制点も奪ってる。それでも勝てなかった。ひらたく言えば、勝てる試合を落としているんだ。それは「実力」の問題じゃなくて、「その試合の戦い方」の問題。
それを「ベスト8の壁」だとか、「まだ国として実力不足」とか、そういう大きな話に持っていくのはズレてるんじゃないかと思うし、そうやって逆に自分たちで(心理的な)壁を作ってしまっている。
努力すればいつかは壁を越えられるって成長物語にすり替えるのも間違ってる。これは単にひとつの試合に勝つか負けるかって話だし、「その試合の戦い方」が問題。だって、あれ勝てたでしょ? 普通に。